2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15109008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60114641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東條 英昭 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20041668)
澤崎 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科附属牧場, 教授 (00012047)
成瀬 勝俊 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50291323)
長嶋 比呂志 明治大学, 農学部, 助教授 (50318664)
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Keywords | 形質転換ブタ / 人血清アルブミン / EGFP / 動物バイオリアクター / 人工肝臓 |
Research Abstract |
ヒト血清アルブミンを産生する形質転換ブタを作出する目的で、全身臓器発現性プロモーター、ヒト血清アルブミン遺伝子、そして、クラゲの発光遺伝子EGFPを連結した連結遺伝子pCX-HSA-EGFPの構築を行った。そして、東京大学農学部付属牧場において、精子ベクター法を用いてこの遺伝子を導入した形質転換ブタの作出を試みた。これは、これにin vitroにおいて導入用遺伝子と共培養したブタ精子をマイクロインジェクション法によりブタの未受精卵に注入して受精させ、受精と同時に遺伝子を導入した上で、得られた受精卵を仮親のブタ子宮に移植する方法である。その結果、平成15年、最初の産仔が産まれ、死産ではあったが、蛍光により明瞭な発光を示す形質転換ブタであることが判明した。このブタから皮膚及び全身各臓器からサンプルを採取して、遺伝子解析を行ったところ、ヒト血清アルブミンとEGFPの両方について、PCRにより遺伝子の導入が、RT-PCRにより遺伝子の発現がそれぞれ全身臓器において認められた。さらに、リアルタイムRT-PCRにより、各臓器の遺伝子発現量を解析したところ、ヒト血清アルブミンの発現量は、大動脈、肺、肝臓、子宮、皮膚、右前肢の筋肉、蹄、左前肢の筋肉、卵巣の順に発現量が高かった。この形質転換ブタ作出の意義は、異種タンパクを自らの血中へ分泌するブタ胚が個体発生し、出生に至るまで育ったことである。また、ヒト有用物質を生産する動物バイオリアクターとして形質転換ブタを開発する具体的な展望ができた。このような形質転換ブタの系を樹立すれば、ブタの血漿分画製剤として安価に大量のヒトアルブミンが生産できる可能性がある。人工肝臓の場合、導入遺伝子が肝臓で発現しているかどうかが重要であるが、今回の例では、他臓器と比較して、肝臓におけるヒトアルブミン遺伝子の十分な発現が認められた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Naruse K, Sakai Y, Natori T, Guo L, Shindo J, Iida Y, Michishita K, Karasawa Y, Kojima K, Makuuchi M: "Xenogeneic direct hemoperfusion using whole swine liver for liver failure in dogs"Journal of Surgical Research. 111. 229-235 (2003)
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[Publications] Naruse K, Sakai Y, Guo L, Natori T, Shindoh J, Karasawa Y, Iida Y, Kojima K, Michishita K, Makuuchi M: "Development of a new extracorporeal whole-liver perfusion system"Journal of Artificial Organs. 6. 211-217 (2003)
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[Publications] 成瀬勝俊: "スタンダードとなり得る人工肝臓システムの開発"現代医療. 36巻別刷. 135-142 (2003)
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[Publications] 成瀬勝俊: "人工肝臓と医療用形質転換ブタの開発"先端医療シリーズ25 肝胆膵の最新医療. 83-92 (2003)