Research Abstract |
2005年度は,多くの研究者を交えて国際シンポジウムを2回,8月と12月に東京と京都で開催し,潜在変数モデルの応用に関して議論した.広島県の広島プリンスホテルで開催された統計関連学会では,企画セッション「科学的推論としてのベイズ統計」の座長を務め,潜在構造を用いた空間統計の応用に関する報告を行った.8月には行動計量シンポジウムとして「ベイジアン応用多変量分析(Bayesian Applied Multivariate Analysis)」を和合と繁桝(東大)が共同企画し,日本側から4名,外国から6名の発表者を交えて,8月23-24日の2日間,東京大学駒場キャンパス数理科学研究棟で約50名が参加して行われた.ベイジアンでの多変量解析などは,データ発生のモデルの中に潜在変数を導入することによってモデルを構造化し,統計的推論を相対的に容易にするモデル化の方法であるといえる.これは一種の階層モデルであり,新しい発展が顕著である.そこで,最近までに達成された貢献について,10名程度の内外の研究者の講演と将来の発展について議論するために企画した.外国からの講演者として,Peter Mueller(University of Texas), Hiroki Tsurumi(Rutgers University), James Press(University of California,Riverside), Arnold Zellner(Graduate School of Business, University of Chicago), Xin-Yuan Song(Depatment of Statistics, The Chinese University of Hong Kong)それにSik-Yum Lee(Deparment of Statistics, The Chinese University of Hong Kong)を招聘した.12月1-3日には東京大学矢島美寛教授を研究代表者とする科学研究費「時空間統計解析の理論と応用」との共催で,第5回目の国際シンポジウムとして潜在構造モデリングと時空間データの解析の分野に焦点を当て,"Latent Structural Modelling and Analysis for Spatio-Temporal Data"に関する国際コンファレンスを和合と矢島他で共同企画し,京都大学紫欄会館で開催し,約100名が参加して充実した議論を行った,外国から空間計量分析分野の6人の著名な研究者:Alan Gelfand(Duke University, U.S.A.), James LeSage(University of Toledo, Spain), Herman van Dijk(Erasmus University, Netherlands), Wolfgang Polasek(Institute for Advanced Studies, Austria), Sylvia Fruewirth Schnatter(Johannes Kepler University, Austria)'そしてSudipto Banerjee(Minnesota University, U.S.A.)を招聘し,日本側からも荒井(東京大学),大屋(大阪大学)をはじめ20本の論文が発表され,最近進歩しつつある時空間データのモデリング手法と解釈についての講演と将来の研究方向について討論を行った.コンファレンスの前にGelfand教授による若手研究者向けの空間データと階層モデルに関するチュートリアルを東京大学で開催し,院生・研究者約30名が参加し,好評であった.この他に各研究成果の一部を12月にオーストラリアのメルボルンで開催されたMODSIMO5の国際学会に参加し,和合(2本)と大屋,福重の3名が4本の論文を発表した.研究業績としてはレフェリー付論文(2003年15本,2004年21本,2005年16本),書籍3とその中の論文13本,学会発表19である.
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