2006 Fiscal Year Annual Research Report
開口分泌素過程の分子機構とその時空的制御機構に関する研究
Project/Area Number |
15200030
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
熊倉 鴻之助 上智大学, 理工学部, 教授 (70129790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹川 展幸 上智大学, 理工学部, 教授 (20187107)
村山 典恵 昭和薬科大学, 薬学部, 助手 (90219949)
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Keywords | クロマフィン細胞 / 開口分泌 / ミオシン-ATPアーゼ / 顆粒運動 / 顆粒供給 / 時空的調節 / PKC / ミオシン-V |
Research Abstract |
クロマフィン細胞の顆粒供給制御におけるPKCならびにモータータンパク質の役割に関して以下の点を明らかにした。 1.ミオシン-ATPアーゼの阻害薬BDMの開口イヴェントへの影響を、アンペロメトリーによって解析した結果、BDMは、脱分極刺激に対する開口応答の持続相で、選択的に開口頻度を低下させた。また、浸透圧刺激によるReleasable Poolからの開口イヴェントは、繰り返し応答が阻害され、顆粒供給の機構にミオシン-ATPアーゼが関わることが明らかになった。開口頻度と顆粒動態に対するミオシン抗体の作用を解析した結果、ミオシン-IIは顆粒の全般的な運動に関わる一方、ミオシン-Vは、顆粒供給機構に特異的に関わることが明らかになった。 2.共焦点蛍光顕微鏡を用いて、高速z軸スキャンにより、顆粒動態の4次元解析を行い、静止時、脱分極刺激時、及び刺激除去後のそれぞれについて顆粒動態を解析すると、これまでの解析結果と一致して、刺激除去後の顆粒運動が著明に亢進していた。TPAによりPKCを活性化すると、運動速度に有意な影響は無しに、静止時の顆粒運動が空間的に顕著に増大した。一方、アクチンの非可逆的脱重合を引き起こすミカロライドBの処理によって、顆粒運動の刺激除去後の著明な亢進が阻害された。これらの結果から、顆粒供給制御におけるPKCならびにアクチン-ミオシン共役の重要な役割が示唆され、更に、顆粒の時空的な運動は、開口分泌の素過程と密接に関連していることが示唆された。 3.走査型電子顕微鏡により、形質膜直下の細胞骨格系と分泌顆粒の局在に対するBDMの影響を検討した。浸透圧刺激後に形質膜直下に局在する顆粒数が著明に減少していたことから、膜に垂直方向のアクチン繊維に沿った顆粒供給にミオシン-ATPアーゼが関わること、Releasable Poolは物理的な顆粒の局在と関連することが明らかになった。
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