2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管細胞の機械刺激受容機構と応答遺伝子の包括的解析に関する研究
Project/Area Number |
15200034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 譲二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20159528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 希美子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00323618)
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Keywords | 流れ剪断応力 / 血流 / 機械受容 / DNAマイクロアレイ / 内皮細胞 / 血管 / P2X4受容体 / カルシウムイオン |
Research Abstract |
本研究では、血流に起因するメカニカルストレスである剪断応力の生体作用を明らかにするために、血流の情報をカルシウムシグナリングを介して細胞内に伝達する働きのあるATP作動性のカチオンチャネル(P2X4受容体)の欠損マウスを作製した。このマウスの肺組織の微小血管内皮細胞では、剪断応力による細胞外カルシウムの流入反応が消失し、引き続いておこる一酸化窒素産生が減弱することが示された。また、マウスから摘出した腸間膜動脈をマイクロピペットに固定し、灌流する回路を作製し、定量的な流れずり応力を摘出血管内に負荷した。野生型マウスでは、流れずり応力負荷に伴う血管径の拡張反応が観察されたが、P2X4欠損マウスではほとんど反応しなかった。組織標本により、野生型マウスとノックアウトマウスとの血管組織の違いは確認されず、また、筋組織から生じた反応性には両者に差がなかった。以上の結果はノックアウトマウスの血流依存的な血管拡張反応が傷害されていることを示唆する。dまた、挙睾筋の細動脈の分岐部をガラスマイクロピペットで圧迫し、血流を停止させると、もう一方の細動脈の血流が約150%に上昇した。この時の血管径の変化を臍帯顕微鏡で観察し、ビデオモニターに記録した。野生型マウスでは血流の上昇に伴い、血管径が約50%増加したが、P2X4欠損マウスではその反応が有意に減少した。さらに、外頸動脈を吻合することにより、総頸動脈の血流量を約70%に減少させると、野生型マウスでは総頸動脈の血管径の減少が観察された一方、P2X4欠損マウスでは、血流減少に伴うリモデリングがおきなかった。このことから、P2X4を介する剪断応力の受容機構は血流依存性の血管のトーヌスや血管のリモデリングの調節に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)