2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋性大気でのOH,HO2,RO2ラジカル・前駆体総合観測-ヨウ素化学とDMS-
Project/Area Number |
15201004
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Research Institution | Applied Chemistry, Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
梶井 克純 首都大学東京, 都市環境学部, 教授 (40211156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 俊吾 首都大学東京, 都市環境学部, 助教授 (20381452)
金谷 有剛 海洋研究開発機構, 地球環境研究フロンティア研究センター, 研究員 (60344305)
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Keywords | 海洋大気 / 流跡線解析 / オゾン / 一酸化炭素 / HOxラジカル / オゾン前駆物質 / VOC / NOx |
Research Abstract |
清浄な海洋大気と中国大陸南部から飛来する人為起源由来の汚染空気塊を検出できる沖縄辺戸岬において行ってきた長期観測の結果を解析した。対象とした期間は2002年から2004年までである。一日2回の流跡線解析を行い観測地点に到達する空気塊の経路を調べたところ主に4種類に分類できることが明らかとなった。晩秋から冬季は中国大陸からが主要であり次に韓国と日本からが重要であった。夏季は太平洋からのものが最も高頻度で起こり、春と秋は移動性低気圧の通過に伴い短時間に経路も変化し、中国、日本や韓国と海洋性が交互に同程度の頻度で起こることがわかった。 分類された到達経路にしたがってオゾンおよび一酸化炭素濃度について調べたところ、オゾンについては、中国大陸由来のものは1月に40ppb程度であるが季節が進むにつれて濃度増加が認められ5月には70ppb近くまで達する。夏季は殆ど中国大陸由来のものはなく、9月以降は40ppb程度で推移する。韓国や日本本土からの空気塊でも中国からと同様な季節変動を示すものの、最大を与える5月に韓国からの場合は50ppbであり、日本からは45ppb程度であった。海洋性の場合のオゾン濃度は夏季は20ppb以下となり海洋でのバックグランド濃度となっていると考えられる。一方一酸化炭素については明確な季節変動は示さず冬季から春季は、中国及び韓国からの場合250ppb程度であり日本からの場合は200ppb程度であった。 純粋な海洋大気が観測される夏季のオゾン濃度の日変動パターンは日中に15-20ppbとなり夜間は5ppb程度となる。これは日中の光化学的な生成過程を強く示唆するものであり、OHラジカルをはじめとするHOxラジカルとオゾン前駆物質であるVOCおよびNOxの光化学反応で説明できるかどうかを試みた。前駆物質であるVOCをキャニスターサンプリングしその結果を用いると15ppbのオゾンを数時間で生産する能力があることが明らかとなった。
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