2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15201005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松下 和夫 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (20346034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西井 正弘 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (60025161)
小畑 史子 京都大学, 地球環境学堂, 助教授 (00262494)
植田 和弘 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (20144397)
内藤 正明 京都大学, 工学研究科, 名誉教授 (40101042)
武部 隆 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30093264)
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Keywords | 環境ガバナンス / 地球益 / 地方分権化 / グローバル化 / NPO / 流域 / CSR / 持続可能な発展 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度であり、これまで得られた成果を報告書の形で取りまとめた。取りまとめられた報告書は、環境ガバナンスの理論的課題と実際の取り組みについて、研究プロジェクトの成果に基づき、最新の研究の到達点を明らかにすることによって、科学的・空間的広がりを持ち、そして関連する主体の面でも多様化・重層化した環境問題を制御し持続可能な社会を構築する<戦略>の観点から、環境ガバナンスを論じる内容となっている。特に、環境問題の解決に際しての非政府アクターの役割、流域管理での利害調整と合意形成、持続可能な都市形成のためのガバナンスの要件などを具体的なケーススタディに基づき論じた。さらに内容を紹介すると全体は4部構成となっており、第1部で、なぜ今環境ガバナンスに注目するのか、その今日的意義、環境ガバナンスの分析視角、技術のガバナンスの構築などに関して、現在の研究の到達点とその課題を明らかにした。第2部では、非政府アクターとそれによってもたらされた環境ガバナンスの構造変化にっき、近年の企業におけるCSR(企業の社会的責任)の背景とその意義を明らかにし、NGOの役割をフロン対策などの事例により解明した。また、環境リスクコミュニケーションにおける共通知識の諸課題を論じた。第3部では、流域管理を取り上げ、流域連携の理論的可能性を論じたうえで、社会関係資本投資の役割、関係主体間の利害調整をケーススタディに基づき分析した。第4部では持続可能な都市形成のためのガバナンスを、政策統合、市民参加、指標づくりの観点から検証し、さらにタイの都市における環境援助の事例から制度的能力構築の課題を明らかにした。第5部では以上の分析を踏まえ、環境ガバナンス論と実際の到達点についての評価と残された戦略的な課題を明らかにし、最後に、環境問題の空間的スケールの重層性や、政策形成とその実施主体の多様化・重層化に対応した新たな時代の課題に挑戦する「重層的環境ガバナンス」の可能性を論じた。
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Research Products
(7 results)