2004 Fiscal Year Annual Research Report
連続したナノ空間に閉じ込められた物質の伝導ダイナミックス
Project/Area Number |
15201019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 直樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50124607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 規敬 熊本大学, 工学部, 教授 (40005963)
松井 広志 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30275292)
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Keywords | メソ多孔体 / ゼオライト / ナノワイヤー / テラヘルツ / 複素伝導率 / ダイナミックス / 低次元電子系 |
Research Abstract |
カーボンメソ多孔体CMKシリーズには、異なる幾つかの構造が存在する。これら試料について、電気抵抗、帯磁率の温度変化を測定した。その結果、低温における電気伝導性が2次元のVariable Range Hoppingによることを明らかにした。零磁場下で冷却すると帯磁率は60K付近で極大をとるが、磁場下で冷却すると帯磁率の増大が生じた。このことは、スピングラスを形成することを示している。これはメソ多孔体を構成するグラフェンシートによる非結合π電子に起因すると考えられる。 また、低次元電子系のダイナミックスをより詳細に研究するために、テラヘルツ域の分光計測が行えるようにした。測定原理は、時間領域分光法による透過測定であり、複素伝導率、複素誘電率が0.1〜2THzの周波数域で決定できるようになった。透過測定であるため、半導体や絶縁体の場合は問題ないが、金属の場合は薄膜に限られる。また、低温実験を可能にするため、光学クライオスタットを設置した。典型的な試料、Si、下地基盤MgOなどを用いて動作テストを行ってきた。その結果、最低温度2Kまでの低次元電子系のダイナミックスの研究が実現できるようになった。そして、ニオブ薄膜、及び、DNA自己組織化膜のテラヘルツ分光測定を開始した。 その他、人工的に塩基配列制御したDNA結晶のマイクロ波伝導率測定、及び、赤外分光測定を行った。そして、塩基対に起因した伝導率と、電子状態及びポーラロンバンドの存在を明らかにした。このことは、DNA塩基問で起こる1次元伝導機構解明に向けた極めて重要な成果といえる。
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