2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶シリコンの弾道電子現象と素子化に関する研究
Project/Area Number |
15201031
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
越田 信義 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (50143631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GELLOZ Bernard 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (40343157)
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Keywords | ナノ結晶シリコン / 多重トンネル効果 / 弾道電子伝導 / 飛行時間解析 / 電子放出 / 弾道電子励起発光 / 単純マトリクス駆動 / 平面ディスプレイ |
Research Abstract |
研究計画に記載の項目に沿って得られた成果をまとめる。 A.弾道電子生成の検証と機構の解析 (1)構造制御したnc-Siを電子ドリフト層としたMIS形ダイオードを真空中または大気圧を含む低真空中で動作させ,放出電子のエネルギー分布や真空度依存性などの測定・解析により,弾道電子が生成していることを実験的に裏付けた。同時にnc-Si層中の電子-格子散乱過程を理論的に解析し、ナノ結晶連結系に特有の格子散乱抑制機構が存在することを裏付けた。 (2)nc-Si層内の電子の伝導過程をピコ秒UVパルス光励起による飛行時間法(TOF)を用いて測定し,ドリフト速度や平均自由行程の電界および温度依存性を算出した。その解析により、nc-Si層内に弾道伝導モードが存在していることを実証した。 B.弾道特性応用の基礎的検討 (1)nc-Si層の構造・界面制御により電子放出効率の向上を図るとともに、弾道電子生成の長期安定化を実現するため、nc-Si界面酸化薄膜のトラップ密度を減少する新規アニール技術を提案した。その効果を電子放出の均一性,動作寿命、動的応答性などの基本特性の測定・評価によって確認するとともに、透過電子顕微鏡や表面組成の解析からも特性向上の要因を明らかにした。 (2)nc-Si弾道電子源の技術的利点を生かした応用として、選択的面放出形電子源,自発光平面ディスプレイの基本技術を開発した。また、素子表面に発光層ないし蛍光体膜を積層し,真空を介さず弾道電子によって励起発光させる新しい固体面発光素子について,特性向上を実現した。 (3)さらに,素子の大面積化とプロセスの低温化を念頭に,多結晶シリコン膜を堆積したガラス基板により素子を構成し,単結晶基板と同様に弾道電子放出特性、弾道電子励起発光特性を測定し、実用的な素子化技術を固めた。
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