2005 Fiscal Year Annual Research Report
生涯発達に伴う人間関係の変容と精神的健健に関する日米比較-10年後の追跡研究-
Project/Area Number |
15203027
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 弘子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10292731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 恵子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (40050786)
東 洋 清泉女学院大学, 人間学部, 教授 (60012548)
下仲 順子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70073004)
|
Keywords | ソーシャル・サポート / ソーシャル・ネットワーク / 精神的健康 / 生涯発達 / 縦断研究 / パネル調査 / 世代関係 / 少子高齢化社会 |
Research Abstract |
人口の高齢化、少子化、生涯未婚、離婚や女性の就業率の増加などに見られる近年の人口動態の変化や生き方の多様化は、従来、人々が概ね誰もがもっていると当然視してきた周囲のサポート・ネットワークに著しい変容をもたらした。また、就職や結婚に伴う親からの独立期、長年の職業生活に終止符をうつ定年退職期、更には、配偶者・兄弟・友人の死や身体的機能の低下を経験する後期高齢期への移行過程のように、ライフコースで多くの人々が経験する挑戦をサポート・ネットワークがいかに支援し、適応を高めるかは社会心理学・発達心理学の大きな研究テーマである。本研究では、1992年に横浜市で無作為抽出された8歳から92歳の1,842名を対象にして行われた「生涯発達に伴うソーシャル・サポート・ネットワークの変容とその社会的適応における役割の日米比較」の追跡調査を行い、個人のサポート・ネットワークと精神的健康の12年間の継続性と変容を明らかにした。また、同じ対象者から得られた縦断的データを活用してサポート・ネットワークの構造的・機能的特性と精神的健康の間の因果関係を分析した。 調査結果から女性の就業、晩婚、生涯未婚、子どもをもたない夫婦、離婚が増加傾向にあり、生き方の多様化が見られた。こうした生き方の多様化は従来、家族制度や家族規範に支えられてきたサポート・ネットワークの弱体化をもたらすと予測されたが、12年間のサポート・ネットワークの構造的・機能的特性共に予想以上の継続性が見られた。しかし、退職男性のネットワークの弱体化、成人期における友人や隣人の役割の増大など、社会変化に対応する新たな形のサポート源と機能が見出された。
|