Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 洋一 筑波大学, 学長 (50027348)
青木 慎也 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (30192454)
金谷 和至 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (80214443)
吉江 友照 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (40183991)
石川 智己 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (70375377)
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Research Abstract |
計画最終年度にあたり,格子間隔a=0.071fm,28^3x56格子でのシミュレーション及び最終解析を本格的に進めた. (1)配位生成. 平成16年度までで2500トラジェクトリを生成したa=0.071fm,28^3x56格子の計算を,予定を超える6000トラジェクトリまで進めて終了した. (2)ハドロン質量結果. a=0.071fm,0.1fm及び0.12fmのハドロン質量について多項式外挿による物理結果の抽出を行い,さらに,これらを理論的に予想されるa^2の振る舞いで連続極限に外挿した.中間子の質量スペクトルの微細構造について,実験値と1%水準での一致の確認が得られた.本計算ではu,dクォーク質量の値が現実値より重いので,カイラル外挿には多項式に加えてカイラル摂動論から予想される式を用いて系統誤差を評価する必要がある.予備的解析の結果は多項式による結果と整合している. (3)クォーク質量結果. 上記解析により,同時にup, down, strangeの3種類の軽いクォークの質量が決定される.その結果,連続極限において,up, downクォーク質量の平均値(MSスキーム,μ=2GeV)として,3.49(15)MeV,またstrangeクォーク質量として90.9(3.7)MeVという最終結果を得た.これらは現象論的に用いられてきた値の約2/3である. (4)重いクォークの扱い 相対論的な重いクォークの定式化をbクォークに適用した場合のスケーリング検討するためNf=0のテストを行った.特に,パラメータνを光速に対する条件から非摂動的に定める方法をテストし,Bメソン諸量が良いスケーリングを示すことを見出した.これに力を得て,Nf=2+1配位上でのチャーム及びボトム粒子の計算を開始した.本計算については来年度以降引き続き解析を行う予定である. (5)成果発表及び平成18年度以降 以上の成果は,2005年度格子上場の理論国際会議等で発表された.現在ハドロン及びクォーク質量結果について論文を準備中である. これと平行して,平成18年度以降の研究計画の検討を行い,領域分割HMC法により,特にu,dクォーク質量を大幅に下げることを重点に,平成18年度に稼動開始が予定されるPACS-CS計算機上での研究実施準備を進めた.
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