2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15204019
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 彊 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40022735)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小早川 久 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 名誉教授 (50022611)
高嶋 圭史 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40303664)
堀中 博道 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60137239)
栗木 雅夫 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (80321537)
|
Keywords | 低エミッタンス / 負の電子親和性(NEA)表面 / 200keV直流型電子銃 / 超高真空環境 / 電極間暗電流 / Pepper-Pot法 / 正の電子親和性(PEA) / 電界放出型偏極電子源 |
Research Abstract |
低エミッタンス電子源の実現には、初期エミッタンスの極小化と空間電荷効果によるビーム拡がりの抑制という2つの必要条件がある。負の電子親和性(NEA)表面から電子を取り出すGaAsフォトカソードは最少の初期エミッタンス(≦0.1πmm・mrad)が期待できる。しかしながら後者の条件を満たす200keV直流型電子銃の実用化には、NEA表面の長時間保持が不可欠であり、(1)10^<-10>Paレベルの超高真空環境と(2)1nAレベルの電極間暗電流の実現が求められる。 今年度の進歩は以下の通りである。(1)については、真空度を従来の3×10^<-9>Paから6×10^<-10>Paへ改善し、NEA寿命を30時間から150時間へ延ばすことができた。(2)については、暗電流試験装置でSUS-316Lに替わる材料としてMoとTiを試験した結果を解析した結果、電極間暗電流のgap幅依存性を用いて「カソードからの電界放出暗電流とアノードによる暗電流増幅効果を分離する方法」を新たに見出した(NIM-A538に掲載)。現在はMoカソードとTiアノードを組み合わせた電極を200keV電子銃用に作成中であるが、この結果をみてつぎの500keV電子銃設計へ進む予定である。さらに、電子源ビームのエミッタンスを測定するためにPepper-Pot法に基づく装置を完成し、すでに予備的データが採れることを確認できた。 上記以外の成果として、ビラミッド状GaAs結晶の先端から電界放出機構を用いて偏極電子ビームを引き出す研究を行い、正の電子親和性(PEA)になったビラミッド先端から放出される電子のスピン偏極度がNEA表面から引き出した電子よりも高い偏極度を有することを見出した。これは電界放出型偏極電子源の可能性を示唆したもので、さらに研究を進める予定である。
|
Research Products
(6 results)