2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15204028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樽茶 清悟 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40302799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 圭司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00302802)
山本 倫久 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00376493)
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Keywords | 半導体 / 量子ドット / スピン / 核スピン |
Research Abstract |
(少数電子系のダイナミクス) 量子ドットの少数電子系のスピン相関効果に起因するスピンブロケード現象を初めて観測した。これは「電子数N-1とNの系で全スピンが1以上異なる(|ΔS|)と、単電子トンネルが抑制される」という現象で、以前から提案されていたが、通常は|ΔS|=1/2のため実験が困難とされていた。今回、N=4、5の電子充填率が1近傍の強磁場中で|ΔS|=3/2となり、電流が1/10程度に減少することを確認した。また、非線形領域で、励起状態が関与する場合には|ΔS|=1/2が満たされてブロケードが解消することも確認した。以上の結果は相関スピン状態の安定性を反映する。電流減少の詳細については、スピン軌道相互作用によるスピン緩和を考慮して解祈中である。 横結合縦型2重ドットを用いてトンネル結合、交換結合の電圧および磁場に対する変調特性を調べた。これこより、2電子状態について、非局結合動道2重占有とHeitler-London型の局在電子状態占有を識別した。後者の場合、トンネル結合〜0.15meV以下の必要があること、このとき交換結合〜0.1meV以下になることが分かった。 時問分解系に関して、10GHz以上でのμ波反射の影響が大きいことが判明し、対策として高周波用ケーブルと試料との接続法の政善、高周波用プローバの開発を行った。また、量子ポイントコンタクトによる電荷検出を利用して、スピン緩和を測定できる試料を作成した。これらについて現在テスト中である。 (電子スピン-核スピンの動的結合) 核スピン量子ビットのより短いゲート操作時間を実現するため、300Wパワーアンプを用いた測定系を構築した。従来の25Wアンプを用いた180°パルス時間が70μsであったのに対し、よし短い28μsのゲート操作を実現した。従来のドット材料が5%のInを含むInGaAsであったのに対し、GaAsからなる縦型二重ドットを開発し、スピンブロッケード状態において、71Ga核および69Ga核の四重極分裂を観測した。連続波NMR信号における3重ピーク高は著しく非対称であった。これは核スピンが熱平衡から大きくはずれた分極状態にあることを示していおり、量子4準位系の初期状態を準備できたことを意味する。さらに複数の遷移選択的なrfパルス照射することで量子4準位系のコヒーレントな操作に成功した。これは2量子ビット分の量子情報が1つの核種によって保持できることを意味する。 2つの非対称なサイドゲートを有する構造を作成し、非対称ゲートバイアスによるドット間オフセットを約1から6程度まで変調することに成功した。ドットの回転対称製が悪いためスピンブロッケードの観測には至っていない。
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Research Products
(8 results)