2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ不均一性制御による高温超伝導体の光学スペクトル操作
Project/Area Number |
15204030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 慎一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10114399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 健児 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60302759)
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Keywords | 高温超伝導 / ミクロ不均一性 / 相競合 / ノード準粒子 / 反ノード準粒子 / 第2近接ポッピング / 磁束芯状態 |
Research Abstract |
高温超伝導体に内在する、あるいはドーピング等の化学操作により外部から導入された不均一性が高温超伝導体の電子構造に与える影響を単結晶合成、ドーピング・組成制御、光電子分光・共鳴非弾性X線散乱、ミューオンスピン回転などのスペクトロスコピーを組み合わせた実験により調べた。これらの結果に基づき、超伝導光学応答への不均一性の影響を考察した。 本年度の主な成果は 1.高温超伝導体状態を特徴づける全く性質の異なる2種類の準粒子、ノード準粒子及び反ノード準粒子、の性質を詳細に調べた。ノード準粒子波d波対称性超伝導ギャップの節(ノード)近傍の準粒子であるためギャップレス(質量ゼロ)粒子である。この性質は超伝導状態でもTcより高温の擬ギャップ状態でも不変である。しかしZn置換による不均一性の導入や稀薄ドーピングにより超伝導が壊れ反強磁性秩序が形成されるようになると、ノード準粒子に有限のギャップが現れる事を発見した。 2.反ノード準粒子はクーパー対の位相コヒーレンスの形成に深く関わっている。ノード準粒子と違い、大きなギャップ(大きな質量)を持ち、その寿命も短くなっている。この準粒子の散乱寿命がミクロな不均一に敏感なこと、そして電子構造を決めるパラメーターのうち第2近接原子間のホッピングがその性質に影響を与えていることを示した。 3.通常の超伝導体では量子化磁束の芯で超伝導秩序が壊れ、そこは、正常金属状態に戻る。その範囲はコヒーレンス長程度となっているが、高温超伝導体では磁束の心がコヒーレンス長(数ナノメートル)よりも拡がっていることが確認できた。磁束芯の状態が正常金属ではなく、ストライプ秩序など別の磁束状態を誘起するためだと考えられる。
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Research Products
(5 results)