2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧下の精密な固体物性研究による圧力誘起量子相転移機構の解明
Project/Area Number |
15204032
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 克哉 大阪大学, 極限科学研究センター, 教授 (70283736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北田 貴弘 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (90283738)
石塚 守 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (30184542)
加賀山 朋子 大阪大学, 極限科学研究センター, 助教授 (40274675)
大石 泰生 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I, 主幹研究員 (20344400)
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Keywords | 超高圧 / 金属絶縁体転移 / 超伝導 / 量子相転移 / リソグラフィー / ひずみゲージ |
Research Abstract |
これまでの研究期間を通じて、常圧下での物性測定精度に匹敵する信頼度での測定達成を目指して、高圧条件下の技術開発と物性測定を同時に進めてきた。以下に本年度において達成された技術開発事項とそれによって得られた知見を列挙する。 1.リチウムの超伝導と結晶構造 電極間隔5ミクロンに至る4端子測定端子をダイヤモンド上での作成に成功した。この他にもひずみゲージ型プローブの作成、ホール効果測定用電極等も試作した。また低振動の「パルスチューブ冷凍機」を導入したことにより極低温下での放射光X線構造解析を可能にした。 軽元素のリチウムおよび酸素の電気抵抗測定を100万気圧の超高圧下まで測定を可能にした。リチウムにおいては、超伝導が発現する温度領域での精密構造解析を行い、超伝導状態と結晶構造の関係を明らかにした。超伝導は面心立方構造で発現して、加圧に伴って上昇するが後に緩やかに下降することがわかり、理論予測されている高温超伝導相の実現にはさらに超高圧が必要であることが示唆された。 2.ヨウ素の分子解離と金属化の検証 上記の精密電極を用いて、水素類似物質として注目している固体ヨウ素の分子解離近傍における精密電気抵抗測定を行った。従来は"分子性金属"と考えられていた圧力領域や変調構造を持つ中間構造の領域について詳しくその伝導度の変化を検証した。その結果、いづれの領域ともに金属化は起こっていないことがわかった。分子性絶縁体から単原子金属状態への遷移過程の解明に新たな知見を得た。
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