2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー誘起動的構造変調による蛋白質機能発現過程追跡のための新規分光技術開発
Project/Area Number |
15204036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
兼松 泰男 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00211855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 亮介 科学技術振興機構, 研究員
山本 仁 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20222383)
徳永 史生 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025452)
市田 秀樹 大阪大学, ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー, 講師(中核的研究機関研究員)
濱田 格雄 科学技術振興機構, 研究員
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Keywords | 光受容蛋白 / レーザー分光 |
Research Abstract |
システム開発においては、当初計画の内、「(1)レーザー誘起動的構造変調手法の開発、A.光誘起過程に同期した可視、赤外、テラヘルツ波照射」に関連して、設備、装置整備およびシステム開発行った。光源組み合わせに対応するため、1kHz再生増幅器および可視光パララメトリック増幅器に対応する超高速蛍光分光システムを構築した。このことにより、可視光励起蛍光の取得がシステムの範囲を広げることが可能となった。さらに、光パラメトリック増幅器を増築し、フェムト秒赤外光発生システムを導入した。同時に赤外分光システムを構築して、赤外域の光照射によるイベント開始、制御が行えるように赤外分光システムを増強した。また、遠赤外領域において、蛋白質全体の振動ダイナミクスに対応する領域の観測に向けて反射型テラヘルツ分光システムの開発を行いバクテリオロドプシンの光誘導振動モード変化に対応した信号の取得に成功した。あわせて、蛋白質・光サイクル追跡用過渡吸収分光システムを構築し遅い時間領域において、光受容蛋白PYPの光サイクルの追跡を行い、NMR導入用可視パルスレーザーシステムも設置した。全体として、当初目的を達成するための装置整備を7割方終えたことになる。 蛋白ダイナミクスの研究に関しては、ターゲットとなる光受容蛋白に対して、アミノ酸残基置換および発色団置換による分光学的特性ならびに光誘起ダイナミクスの変化を系統的に観測した。光受容、蛋白PYPの時間分解分光において、自然発光過程であるにもかかわらず、室温溶液中で、蛍光スペクトルに明瞭な振動構造を見いだした。蛋白固有の孤立化された均一な系としての特徴を初めて明瞭に捉えた例である。また、アミノ酸残基および発色団置換による光学特性変調が可能であり、従来の解析を含む分光手法を丁寧に適用することで、蛋白質ダイナミクスに対する新たな知見が得られることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] R.Nakamura, Y.Kanematsu: "Femtosecond spectral snapshots based on electronic optical Kerr effect"Rev.Sci.Inst.. 75. 636 (2004)
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[Publications] 兼松泰男, 中村亮介, 濱田格雄, 徳永史生: "光受容蛋白蛍光分光測定への超高速カーゲート法の適用"レーザー研究. 32. 78-83 (2004)
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[Publications] 徳永史生, 濱田格雄, 細川陽一郎, 中村亮介, 安達宏昭, 兼松泰男, 森勇介, 佐々木孝友, 増原宏: "分子配列による蛋白モジュールの開発を目指して"化学工業. 54. 358-367 (2003)
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[Publications] Y.Hosokawa, S.Matsumura, H.Y.Yoshikawa, H.Masuhara, R.Nakamura, Y.Kanematsu, K.Ikeda, A.Shimo-oka, H.Mori: "Fabrication and application of protein crystal microarrays"Mat.Res.Soc.Symp.Proc.. 735. 27-32 (2003)
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[Publications] El-Mashtoly SF, Unno M, Kumauchi M, Hamada N, Fujiwara K, Sasaki J, Imamoto Y, Kataoka M, Tokunaga F, Yamauchi S: "Resonance Raman spectroscopy reveals the origin of an intermediate wavelength form in photoactive yellow protein"Biochemistry. 43. 2279 (2004)
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[Publications] Haik Chosrowjan, Seiji Taniguchi, Noboru Mataga, Masashi Unno, Seigo Yamauchi, Norio Hamada, Masato Kumauchi, Fumio Tokunaga: "Low-Frequency Vibrations and Their Role in Ultrafast Photoisomerization Reaction Dynamics of Photoactive Yellow Protein"J.Phys.Chem.B. 108. 2686 (2004)