2003 Fiscal Year Annual Research Report
上部地殻内でのポリペプチド・ポリヌクレオチドの生成
Project/Area Number |
15204047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中澤 弘基 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80333780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250669)
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Keywords | アミノ酸 / 脱水重合 / ペプチド結合 / アンモニア生成 / グラファイト / 生命起源 / 化学進化 / HPLC |
Research Abstract |
アミノ酸や核酸塩基などの単分子モノマーの複重合過程は、生命起源に関する化学進化において、本質的問題である。しかし、単分子モノマー複重合過程に対する明確な説明は存在しない。本研究では、有機物モノマー複重合は、脱水反応を促進させる地殻内で起こったとする仮説をもとに実験を行った。粘土鉱物にアミノ酸を吸着させた模擬海洋堆積物をモデル試料とし、上部地殻に相当する高温高圧実験により、アミノ酸がポリペプチドに重合することを実験的に証明する事と高圧場でのアンモニア、アミノ酸生成実験を行うのが目的であった。様々な実験を行った結果、(1)脱水条件下でのみアミノ酸の重合が起こる事、(2)ペプチド結合が5分子アミノ酸重合まで進んだ事、(3)高圧岩石水反応でアンモニアが生成し、それがアミノ酸の窒素源と成りうる事、(4)岩石(特に鉄含有鉱物)水反応にグラファイトを混入させた結果、アミノ酸生成が起こった事を証明できた。これらはいずれも、全く新しい知見である。 今年度予算で購入したHPLC,凍結乾燥機、実験設備などでの投入効果がそのまま、成果に現れた。今年度は1年目であり、機器の設置と予備実験が主な目標であったが、本格的実験に移行でき,十分な結果を得られた。その成果は、国際学会(Goldschmidt会議)で発表されている。また国際誌に投稿準備中である。グラファイトからのアミノ酸生成は、今までに無い新しいアミノ酸生成方法であり、特許申請中であり、いずれも次年度以降の研究につなげる成果を今年度得る事ができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kakegawa T.: "Importance of water/rock interaction at ancient sub-seafloor regions to supply bio-essential elements to early biota"Water Dynamics Proceeding. vol.1. 34-36 (2004)
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[Publications] 遠藤 一佳, 南澤 究, 掛川 武, 犬伏 和之: "微生物学と地球化学のわかちがたい関係"科学. vol.7No.2(別刷). 166-169 (2004)
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[Publications] 掛川 武: "太古代海洋における硫酸還元菌の活動と生息環境"地学雑誌. vol.112No.2(987). 218-225 (2003)
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[Publications] Mori K., Kim H., Kakegawa T., Hanada S.: "A novel lineage of sulfate-reducing microorganisms : Thermodesulfobiace ae fam. nov., Thermodesulfobium narugense, gen. nov., sp. nov., a new thermophilic isolate from a hot spring"Extremophiles 7. 283-290 (2003)
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[Publications] 掛川 武: "最古の岩石が秘める生命起源へのヒント"化学. vol.58No.7(別刷). 30-31 (2003)
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[Publications] 中澤 弘基: "Claysphere : past, present and futureの視点"粘土科学. Vol.42.3. 115-119 (2003)