2004 Fiscal Year Annual Research Report
上部地殻内でのポリペプチド・ポリヌクレオチドの生成
Project/Area Number |
15204047
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60250669)
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Keywords | 初期地球 / アミノ酸 / ペプチド / 地殻内 / 隕石衝突 / 圧力効果 / 粘土鉱物 |
Research Abstract |
本研究では初期地球環境を模擬し、そこでのアミノ酸生成(+生体有機分子)、アミノ酸重合を実験室で再現する事を最大の目的としている。まず衝撃波発生装置や高温反応炉を用いて、初期地球における隕石衝突を模擬した。この実験の目的は、隕石衝突イベントにおいてアミノ酸やアミノ酸材料物質が生成されるか検証する事にある。その結果、アミノ酸材料物質であるアンモニアの生成が高収率で起こる事、そこからアラニン・グリシンなどアミノ酸生成も起こる事を証明した。その成果の一部はEarth Planetary Science Letterに投稿し、受理された。様々なエックス線分析装置を駆使し、高温高圧反応で生成した固体物質の同定なども積極的におこない、鉄、マグネシウム、シリカなどの元素が特異的な挙動を示し、アミノ酸生成を起こしている反応場の化学条件をバッファーしている事が世界に先駆けて判明した。これらは国際会議の招待講演などを通して公表してきている。 さらに地殻内条件を反映させ、アミノ酸の高温高圧環境でのペプチド重合を促進させる実験を行った。特に粘土鉱物の触媒機能に着目し、粘土-アミノ酸系の反応実験を行った。その結果、以前には不明であった圧力の効果、温度の効果が具体化された。アミノ酸重合の妨げになる環状アミノ酸の生成が圧力によってコントロールされることなど重要な知見を得た。 初期地球に置ける隕石衝突や地殻内条件、極限環境場に置ける生命体(生体分子)の安定性を上記実験に反映させるため、外国人専門家から意見を伺うと同時に、初期地球環境を残す地層の野外調査によって情報を得た。
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Research Products
(7 results)