2005 Fiscal Year Annual Research Report
マントル及び海洋地殻構成鉱物の高圧相平衡とマントル深部の化学的不均質
Project/Area Number |
15204049
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
赤荻 正樹 学習院大学, 理学部, 教授 (30126560)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糀谷 浩 学習院大学, 理学部, 助手 (60291522)
|
Keywords | マントル / 高圧相平衡実験 / ラマン分光測定 / ペロブスカイト / カルシウムフェライト / 六方晶系相 / 熱量測定 / 格子振動モデル |
Research Abstract |
今年度は、2003年度に導入したラマン分光計と、2004年度に新ガイドブロックと油圧制御系を取り付けた超高圧装置を用いて、次に記す成果を挙げた。 1.マントルに沈み込む海洋地殻中に存在すると考えられるMgAl_2O_4-NaAlSiO_4系六方晶系相の安定領域を、新ガイドブロックによる超高圧装置を用いて、高温高圧下で決定した。さらにこの六方晶系相のラマンスペクトルを、ラマン分光光度計を使って測定した。このラマンスペクトルに基づき、熱容量、エントロピーをKiefferによる格子振動モデルによって計算した。また高温熱量測定法で、六方晶系相の生成エンタルピーを測定した。これらの熱力学データを使ってこの系の高圧相平衡関係を計算し、高温高圧実験による直接的決定と良い一致を示す結果を得た。 2.組成の異なる複数のMgSiO_3MgAlO_<2.5>系ペロブスカイト型固溶体を高圧合成し、高分解能^<27>Al-NMRで構造中のAlの配位環境を調べた結果、Mg, SiをAlが置換する際に酸素欠陥が生成し、その酸素欠陥が無秩序に分布することが示された(Stebbins教授との共同研究)。 3.CaMgSi_2O_6-NaAlSi_2O_6-CaFeSi_2O_6系の高圧相平衡関係を調べ、遷移層下部におけるNaのホスト相としてのガーネットとカルシウムフェライト相の関係を明らかにした(Bobrov助教授との共同研究)。 4.ゲルマニウム酸塩ペロブスカイト型高圧相の安定領域を調べるため、MgGeO_3とZnGeO_3の高圧安定関係を高温高圧実験によって決定した。さらにゲルマニウム酸塩ペロブスカイト型高圧相の生成エンタルピーを高温熱量測定法で測定した。これらに加えて、当研究室で今まで測定したペロブスカイト型高圧相の生成エンタルピーのデータを整理し、生成エンタルピーと結晶化学的性質の関係を考察した。この結果、生成エンタルピーと陽イオン半径の間に明瞭な相関関係があることが明らかになった。この関係を使って、従来合成されていなかったペロブスカイト型高圧相の生成圧力を予測することが可能になった。 5.MgAl_2O_4-Mg_2SiO_4系の高圧相平衡関係を調べる高温高圧実験を行い、カルシウムフェライト型固溶体の組成範囲がMgAl_2O_4成分で100〜60mol%に及ぶことを明らかにした。
|