2004 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸塩岩の深部沈み込みとそれに伴うマイクロダイアモンドの形成プロセスの解明
Project/Area Number |
15204050
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小笠原 義秀 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70160736)
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Keywords | UHP metamorphism / diamond / C isotope / carbonate / coesite exsolution / dolomite / aqueous fluid / intraslab UHP metasomatism |
Research Abstract |
カザフ共和国コクチェタフ超高圧変成帯に産出する深部沈み込み炭酸塩岩を主な対象として研究を進めた。その結果次の事項が明らかにされた。 1.方解石マーブル中にダイアモンドを発見した。これまでに報告されたリムを持たないR-typeが大半であり、2段階成長を示すS-typeはほとんど無い。ダイアモンドの含有量がドロマイトマーブルと比べ極端に低い。これらのことは、方解石マーブル中では流体中にダイアモンドが岩石から溶脱していた可能性を示唆しており、超高圧変成作用下でのH2O-rich流体の役割の岩石による相違を浮き彫りにした。 2.ケイ酸塩岩中にK2Oを数%含む含ダイアモンド電気石を発見した。この組成の電気石は世界で初めての発見である。この発見は、マントルに沈み込んだ物質内での揮発性成分の挙動を解明するための重要なデータとなった。 3.ダイアモンドを含まないドロマイト質マーブルのディオプサド中に、800PPMのOH基が含まれることがFT-IR法により測定された。このOH基の中に角閃石構造中のものも検出されており、減圧過程でサブマイクロメータオーダーの角閃石の離溶が発生し、その角閃石中のOH基もディオプサイドに由来するものと考察された。 4.ラマン分光法により、ダイアモンドのキャラクタリゼーションを行った。ドロマイトマーブル中でのリムの形成環境とその他マイクロダイアモンドの形成環境が異なっていたことが明らかにされ、特にリムの形成が流体の関与によるとした著者の従来の見解と整合性のあるデータとなった。 5.本年の成果は著者がダイアモンド形成に関して主張してきた見解を裏付ける結果である。沈み込み物質内でのプロセスは従来考えられていたマントル交代作用の概念に大きな修正を求めるものであり、これを"Intraslab UHP Metasomatism"と名づけ、イタリアでの32thIGCでそれを提唱した。
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Research Products
(18 results)