2004 Fiscal Year Annual Research Report
白金族元素の同位体比・濃度・化学状態による地球表層の物質循環と環境変遷の解明
Project/Area Number |
15204051
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 洋 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60090544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10304396)
鈴木 勝彦 海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダ (70251329)
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Keywords | 白金族元素 / 化学状態 / Os同位体比 / 海洋環境 / ペルム紀-三畳紀境界 / チャート / 白金鉱石 / EXAFS |
Research Abstract |
白金(Pt)やオスミウム(Os)など白金族元素やレニウム(Re)の、濃度ならびに化学状態の研究、および白金族元素に関連するRe-Os同位体系の研究により、地球表層の物質循環と地球表層環境の変遷を明確にすることが、本研究の大きな目的である。本年度の研究成果の概要は次の通りである。 1.海洋環境におけるOs同位体比の時代変遷の解明 ペルム紀-三畳紀境界(P-T境界、約2億5千万年前)は、大規模な生物絶滅の時期として知られている。P-T境界に海底で堆積した西南日本外帯(秩父帯南帯)と西南日本内帯(美濃帯)のチャートに対して、Re-Os同位体系を適用し、P-T境界における海洋環境の全地球規模変動に関する研究を行なった。 (1)秩父帯南帯チャートの研究により、^<187>Os/^<188>Os比は下部ペルム紀の約2億7千万年前から、当時の定常的な海水の^<187>Os/^<188>Os比(0.4-0.6)よりも低い0.1-0.3の値に下がり、この低い値がP-T境界において、さらには下部三畳紀の約2億4千万年前においても継続していることが判明した。Os同位体比が下部ペルム紀の時代においてすでに低いことから、P-T境界における環境変動の要因として、隕石衝突説よりも大規模火成活動説の方が妥当と考えられる。 (2)美濃帯の三畳紀チャートの^<187>Os/^<188>Os比は0.3-0.5と、秩父帯南帯チャートよりは高い値を示している。大陸起源物質の寄与は、美濃帯チャートにおいて高いと考えられる。 2.白金族元素の化学状態の解明 コロンビアの超塩基性岩由来の白金鉱石(Pt-Fe合金)中のOsのEXAFSの解析を行ない、Osの最近接原子はPtではなくてOsとIrであることを明らかにした。Pt-Fe合金におけるOsの溶解度に限度があることを示す重要な結果である。
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Research Products
(6 results)