2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15205010
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中沢 浩 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00172297)
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Keywords | ホスファイトボラン / B-H結合切断 / モリブデン錯体 / Mo-B-P結合配列 |
Research Abstract |
種々の典型元素を配位子とする遷移金属錯体の合成と反応性について研究を行っており、前年度までに鉄-シリル結合をもつ錯体が、アセトニトリルの炭素-炭素結合を切断し、さらに触媒として働くことを見出した。この触媒能は鉄と他の14族元素の結合では達成されず、鉄-シリル結合に特徴的なものであり、触媒サイクルも明らかにした。本年度は遷移金属-ホウ素間に結合をもつ錯体についての研究を行った。 ホスフィンボランはホスフィンとボランの塩基-酸付加体であるが、B^--P^+の分極を考えるとアルカンと等電子構造であり、R_3PBH_3のB-H結合の活性化はC-H結合活性化に通じるため興味深い。ジアミノ置換ホスファイトボランであるBH_3P(NMeCH_2)_2(OMe))と(C_5Me_5)(CO)_3MoMe錯体との光反応によりB-H結合が切断され、Mo-B共有結合をもつ錯体(C_5Me_5)(CO)_3MoBH_2{P-(NMeCH_2)_2(OMe)}が生成することが種々のスペクトルデータおよびX線構造解析より分かった。この錯体はMo-B-P結合配列を有するため反応性に興味がもたれる。MeIとの反応ではMo-B結合が選択的に切断され、PMe_3との反応ではB-P結合の切断が起こる。また、この錯体をベンゼン中室温で1日放置しておくとB-H結合の切断が起こることがわかった。この反応は結局ジアミノ置換ホスファイトボランの2つのB-H結合を活性化していることになり、前例のない興味深いB-H活性化反応であることが分かった。
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