2003 Fiscal Year Annual Research Report
アセチレン類の新規分子内還元的環化反応の開拓と材料科学への展開
Project/Area Number |
15205014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 茂弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60260618)
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Keywords | 分子内環化反応 / アセチレン類 / アセン / Bergmann環化 / π共役化合物 / 光物性 / 還元的環化 / オリゴ(フェニレンビニレン) |
Research Abstract |
本研究は,概念的に新しいアセチレン類の環化反応の開拓により,優れたπ共役化合物群を創出し,これをもとに材料科学の新たな局面を切り拓くことを目的とする.この化学では,いかに重要な骨格を,いかに効率的に,かつ,一般性をもって創りあげるかが鍵となる.本研究では,そのような骨格として,置換アセンおよび架橋オリゴ(フェニレンビニレン)に着目し,これらの骨格形成反応として、ジイン類のendo-endo型環化およびジフェニルアセチレン類の分子内還元的環化反応という二つの素反応の開拓について検討を進めている.本年度の成果は次の二つに纏められる. 1.ジイン類の還元的Bergmann環化反応の開拓 ジイン類のendo-endo型分子内環化反応で熱的に進行する例としてBergmann環化がよく知られている.本研究では,この反応のアニオン版である「還元的Bergmann環化」の開拓とその合成的利用について検討した.o-ビス(シリルエチニル)ベンゼンを一電子還元剤であるリチウムナフタレニドと反応させた場合には全く環化生成物は得られなかったのに対し,環状o-ビス(シリルエチニル)ベンゼンを基質に用いることにより,endo-endo型分子内還元的環化が進行し,目的環化物である1,4-ジリチオ-2,3-ジシリルナフタレンが良好な収率で得られることを見いだした.また,この中間体を種々の求電子剤で捕捉することにより,一連の官能性誘導体へと変換できた.さらに,得られたナフタレン誘導体の2,3位のシリル基もハロ脱シリル化反応によりハロゲンへと変換可能であった。本反応は,官能性ポリアセン合成のための素反応として有望である. 2.ジフェニルアセチレン類の分子内還元的環化反応によるシラインデン類の一般的合成法 すでに開発に成功しているジフェニルアセチレン類の分子内還元的二重環化反応をさらに発展させることにより,シラインデン類の一般的合成法を確立した.また,本手法により得られる一連の含ケイ素π電子系化合物の光物性を詳細に評価し,ケイ素の光物性に及ぼす効果を明らかにした.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Yamaguchi, C, Xu, K.Tamao: "Bis-Silicon-Bridged Stilbene Homologues Synthesized by New Intramolecular Reductive Double Cyclization"J.Am.Chem.Soc.. 125・45. 13,662-13,663 (2003)
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[Publications] S.Yamaguchi, M.Miyasato, K.Tamao: "Endo-Endo Mode Intramolecular Reductive Cyclization of Cyclic 1,2-Bis(silylethynyl)benzenes"Chem.Lett.. 32・12. 1104-1105 (2003)