2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15205015
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
魚住 泰広 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 教授 (90201954)
|
Keywords | 水中触媒 / ナノ触媒 / 有機合成化学 / 有機金属化学 / 高活性触媒 / 遷移金属 |
Research Abstract |
水中,不均一条件下での触媒的不斉合成手法の確立が新世代における理想化学反応システムに直結することは言を待たない。これまでに我々は幾つかの両親媒性高分子担持遷移金属触媒を駆使し,水中での触媒的有機変換工程を実現してきた。特に当該課題研究において見いだしたPS-PEG高分子に分散包埋したパラジウムナノ粒子が種々のアルコール類を水中で酸素のみを酸化剤として対応するカルボニル基へと酸化的変換する触媒工程は特筆される成果と考えている。今年度はこの工程のさらなる最適化を検討していたところ,同高分子に白金ナノ粒子を担持した固体触媒がさらなる効率性および基質一般性を示す優位性に富む触媒であることを見いだした。すなわち,PEG鎖末端に1級アミノ基を有するPS-PEG担体にZeise塩を反応させ得られた固定化白金錯体を還元し低原子価白金種を発生-解離-自己集合化することでPS-PEG内に分散した白金ナノ粒子が得られた。このナノ白金触媒は水中空気雰囲気下で広範なアルコール類を効率よく酸化した。基質としてアリファティック,アリサイクリックの不活性アルコールが酸化反応を受けることは従来法では実現困難な優位点である。他に,爆発性ニトロメタンを水中において安全なC1試剤として利用したアリル位ニトロメチル化,同反応の不斉触媒化,同不斉工程の立体選択性発現機構解明,ピンサー錯体の新規合成手法の確立,ナノパラジウム触媒によるケトンのアルキルアルコールをアルキル化剤とするα位アルキル化,などに成果をあげつつある。
|