2006 Fiscal Year Annual Research Report
配位組織型スペシャルペアを構成単位とするアンテナ超分子系と電荷分離系の最適化
Project/Area Number |
15205020
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小夫家 芳明 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (80026195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 彰治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00277831)
小川 和也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (50335486)
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Keywords | ポルフィリン / フタロシアニン / 超分子 / 人工光合成 / 二光子吸収 / 光線力学療法 / 分子エレクトロニクス |
Research Abstract |
本年度は人工スペシャルペアを単位とした光捕集アンテナ系、電荷分離系、光電変換系の構築に取り組み、下記の成果を得た。 人工スペシャルペアをビスエチニレン-m-フェニレン基で連結した環状5量体C-EP5と環状6量体C-EP6(12.8ps)^<-1>におけるリング内の励起エネルギーホッピング速度を超高速レーザー分光を用いて調べたところ、それぞれ(21ps)^<-1>、(12.8ps)^<-1>と見積もられ、距離で有利な5量体よりも配向要素で有利な6量体の方が速いことが明らかとなった。いずれも一重項励起状態の寿命に比べ、数百倍の速さで励起エネルギー移動することができる。また、これらのポルフィリン環状体の高分解能STM像観察に成功した。 人工スペシャルペアのメソ位にフタロシアニンを直接連結した化合物を合成し、光ダイナミクスを過渡吸収スペクトルを用いて調べたところ、ポルフィリン部、フタロシアニン部のいずれを励起してもフタロシアニンのカチオンラジカルが観測され、電荷分離が効率よく起こることがわかった。これはポルフィリンを励起した場合、フタロシアニンへの定量的な励起エネルギー移動を経て、フタロシアニンからポルフィリンへの電子移動により電荷分離状態が形成される。人工スペシャルペア構造がアニオンラジカルを安定化させる役割を担っていることが明らかとなった。 人工スペシャルペアに各種官能基をつけ、表面をTiOH修飾したITO電極に分子を修飾し光電流発生の量子収率を調べたところ、ホスホン酸>カルボン酸>チオールの順で量子収率が高いことを明らかにした。また、Soret帯を励起した際にQ帯よりも2倍程度大きな量子収率を与えたことから、この系ではS2状態から直接電極へ電荷注入が起こっていることが明らかとなった。また、人工スペシャルペアの電極と反対側の部位に電子ドナーとしてフェロセン基を導入するとカスケード型電子移動により再結合過程が抑えられ、Soret帯励起による光電流の量子収率が19%に達した。
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Research Products
(10 results)