2003 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型高活性酸・塩基触媒の開発と高効率的精密合成法の開拓
Project/Area Number |
15205021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石原 一彰 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40221759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤倉 松次郎 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (70303683)
幅上 茂樹 山形大学, 工学部, 助教授 (30252266)
坂倉 彰 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80334043)
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Keywords | グリーンケミストリー / エステル縮合反応 / 均一触媒 / アンモニウム塩 / 原子効率 / 非金属系触媒 / 脱水反応 / 触媒の回収・再利用 |
Research Abstract |
エステルを化学合成する場合、従来、カルボン酸をまず縮合剤を用いて活性なカルボン酸誘導体に変換してからアルコールと反応させるか、反応平衡を利用してカルボン酸かアルコールのどちらかを大過剰に用いる方法がとられてきた。しかしこれらの方法には縮合剤由来の副生成物の生成や原料の過剰使用などの問題がある。グリーンケミストリーの観点から、触媒存在下、カルボン酸とアルコールの1:1モル混合溶液を加熱還流し共沸脱水することにより効率よくエステルを得る方法が最も望ましい。 我々はアンモニウム塩触媒がカルボン酸とアルコールの脱水縮合反応に有効であることに注目した。そこでアンモニウム塩触媒について詳細に検討したところ、共沸脱水を必要としない等の利点があるものの、触媒活性が低く、2級アルコールを基質に用いた場合オレフィンへの副反応が起こることが明らかとなった。そこで我々はこの問題点を克服すべく研究を行った。まず、アンモニウム塩触媒のアンモニウムカチオンとそのカウンターアニオンがエステル及びオレフィンの生成促進及び抑制に影響をあたえるかどうかを調べたところ、ジアリールアンモニウムトリフラートを用いると、オレフィンへの副反応が比較的抑えられ、エステル化が促進されるという興味深い結果が得られた。また、立体的に嵩高いイミノジベンジルやジメシチルアンモニウムカチオンと立体的に嵩高いペンタフルオロベンゼンスルホナートを組み合わせた触媒を用いると、さらにエステル化の反応性が向上し、オレフィンの生成が抑えられることがわかった。この傾向はいずれの基質を用いても同様であることを確かめた。イミノジベンジルペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩やジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩を用いると他のアンモニウム塩に比べ高収率でエステルが得られた理由は、アンモニウムカチオンとそのカウンターアニオンの両方の嵩高さによる立体障害がイオン対を引き離すためであり、その結果、カルボン酸がアンモニウムカチオンに容易に接近できるようになりエステル化が促進されるものと考えられる。この際、嵩高いプロトン酸は嵩高い2級アルコールには配位しにくく、より立体障害の少ないカルボン酸に優先的に配位することが期待される。また、2級アンモニウム塩が有効である理由として窒素原子上の2つのプロトンがカルボン酸の2つの酸素原子と水素結合を形成し、カルボン酸を選択的に活性化するためと考えられる。一方、アルコールには一つのプロトンしか配位できないためその活性化は抑制されるものと考えられる。 今後はこれまでの知見を基にオレフィンへの副反応を完全に抑えられるような高活性アンモニウム塩触媒の開発研究を行っていく予定である。また、光学活性なアンモニウム塩触媒を用いた不斉エステル化反応や、触媒の回収・再利用を視野にアンモニウム塩触媒をポリマーに担持することも検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Atsushi Sato: "A new method for the preparation of aluminum and titanium tris(2,6-dip henylphenoxide) reagents and their application in organic synthesis"Chem.Lett.. 32・11. 1006-1007 (2003)
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[Publications] Nobuko Ozasa: "Aldol synthesis with an aqueous solution of formalin"Synlett. 14. 2219-2221 (2003)
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[Publications] Aiko Hasegawa: "Trimethylsilyl pentafluorophenylbis(trifluoromethanesulfonyl)methide as a super Lewis acid catalyst for the condensation of trimethylhydroquinone with isophytol"Ang.Chem.Int.Ed.. 42・46. 5731-5733 (2003)
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[Publications] Hirotsugu Ito: "Chiral molecular recognition by aluminum tris(2,6-diphenylphenoxide) in an asymmetric 1,4-addition"Ang.Chem.Int.Ed.. 43・8. 994-997 (2004)
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[Publications] Shigeki Habaue: "Chemospecific Ring-Opening Polymerization of α-Methylenemacrolides"Polymer. 44・18. 5195-5200 (2003)
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[Publications] Shigeki Habaue: "Stereoselective Synthesis of (R,R)-, (S,S)-, and (R,S)-Poly(2,3-dihydroxy-1,4-aphthylene) Derivatives by Asymmetric Oxidative Coupling Polymerization"Polymer J.. 35・7. 592-597 (2003)