2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型高活性酸・塩基触媒の開発と高効率的精密合成法の開拓
Project/Area Number |
15205021
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石原 一彰 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40221759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂倉 彰 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (80334043)
波多野 学 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20362270)
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Keywords | グリーンケミストリー / エステル縮合反応 / 均一触媒 / アンモニウム塩 / 原子効率 / 非金属系触媒 / 脱水反応 / 触媒の回収・再利用 |
Research Abstract |
環境調和型高活性酸・塩基触媒の開発と高効率的精密合成法の開拓を研究目的に以下の研究成果を得た。 1.リチウムN,N-ジイソプロピルアミド(LDA)を触媒に用いるHaller- Bauer反応及びCannizaro反応の開発:ケトンに対し過剰量のナトリウムアミドを作用させて、相当する一級アミドを得る反応をHaller-Bauer反応と呼ぶが、反応する金属アミドがMNH_2に限られており、有機合成にはほとんど使用されてこなかった。そこで、我々は種々検討した結果、触媒量のLDA存在下、アンモニアだけでなく、1級アミン、2級アミンから調製されるリチウムアミドがベンジルケトンと反応し、アミドを高収率で生成することを見出した。同様に、LDA存在下、リチウムアミドはアルデヒドとも反応し(Cannizaro反応)、相当するアミド化合物を生成することがわかった。 2.四塩化スズ・キラルピロガロール配位錯体をキラルBrφnsted酸触媒に用いるエナンチオ選択的ポリエン環化反応の開発:ピロガロールの1位と3位の水酸基を光学活性なトランス-2-(3,5-キシリル)シクロヘキサノキシ基に変換し、四塩化スズとの1:1配位錯体を調製し、ホモゲラニルアレンと反応させたところ、高収率及び高エナンチオ選択的に目的とする三環性テルペノイドを得ることができた。 3.アリールボロン酸触媒を用いる脱水縮合反応によるアシルウレアの合成:電子求引性置換基を有するアリールボロン酸はカルボン酸とウレアの直接脱水縮合反応を促進し、相当するアシルウレアを高収率で生成することがわかった。本手法により、ポリアシルウレアの合成にも成功した。 4.カルボン酸とアルコールの脱水縮合反応を促進する空気中で安定な触媒の開発:ZrCl_2O・8H_2O及びHfCl_2O・8H_2Oは等モル量のカルボン酸とアルコールからの脱水縮合反応に極めて有効であり、反応後塩酸水によって回収・再利用出来ることがわかった。 5.ポリエン環化人工酵素の開発及び(-)-クロマゾナロール、(+)-8-エピ-ピューペヘジオン、(-)-11'-デオキシタオンジオールメチルエーテルの全合成:光学活性ビナフトールより誘導されるキラルカテコールと四塩化スズの1:1配位錯体はホモプレニルアレンのポリエン環化反応に極めて有効であり、大抵の場合90%eeの選択性でポリ環化生成物が得られた。ゲラニルゲラニル誘導体から(-)-11'-デオキシタオンジオールメチルエーテルの全合成はこれまでで最も長いポリエン鎖からの不斉カスケード反応である。 6.不斉アシル化人工酵素の開発:L-ヒスチジンから誘導される不斉アシル化人工酵素によって、S(k_<fast>/k_<slow>)=90でラセミアルコールを光学分割することに成功した。
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Research Products
(8 results)