Research Abstract |
1.微細加工技術を用いたナノ領域への高密度スピン注入 (1)収束イオンビームを用いて,タングステンマスクパターンを作製し,これを用いることにより,最小140x250nm^2のトンネル微小接合を作製し,抵抗×面積値140Ωμm^2,磁気抵抗比17%を得た. (2)加工プロセスに電子線リソグラフィを導入し,絶縁層にMgOを用いることにより、最小100x200nm^2のトンネル微小接合を作製し、抵抗×面積値6Ωμm^2,磁気抵抗比90%を得た. (3)上記素子においてスピン注入磁化反転を観測することに成功した.反転に要した電流密度は7.7x10^6A/cm^2であり,熱処理温度の上昇とともに反転電流は増大した. 2.素子界面におけるスピン緩和 (1)強磁性体(FM)/Cu/CoFe積層膜の強磁性共鳴スペクトルを測定し,それぞれの磁性体の共鳴線幅について,単層膜におけるそれからの増大率を測定した.FMがCoFeBの場合,CoFeの線幅は大きく上昇しCoFeBの線幅の増大率は小さかった.反対にFMがFeNiの場合はCoFeの増大率が著しく小さく,FeNiの線幅の上昇率は大きかった. (2)上記の実験結果は,FeNiのスピン拡散長と比抵抗を反映するスピン抵抗値がCoFeBのそれよりも大きいとすることで説明できた. 3.コプレーナ線路からの高速パルス磁界応答信号測定 (1)トンネル接合においてパルス電流を用いたスピン注入磁化反転の応答信号測定システム(パルス幅が1μs,パルス電流の最大値が20mA)を製作した.また,トンネル接合の反転電流のパルス幅依存性を調べ,パルス幅の減少により反転電流が増大することを実験的に明らかにした. (2)積層フェリ構造の磁性層の反転ダイナミクスを明らかにするため,ポンププローブ法を用いてダンピング定数を測定した,積層フェリ構造の磁性層のダンピング定数はFeNi単層膜と比較して増大することを明らかにした.
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