2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15206002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山内 尚雄 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (50271581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 典昭 東京理科大学, 理工学部, 教授 (00126145)
本橋 輝樹 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (00323840)
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Keywords | ハーフメタル / スピントロニクス / 層状遷移金属酸化物 / ダブルペロブスカイト / 混合原子価状態 / メスバウアー分光 / FLAPW法バンド計算 |
Research Abstract |
本研究では、層状ダブルペロブスカイト酸化物A(RE)B_2O_<5+δ>(A,Re,Bはそれぞれアルカリ土類金属、希土類、遷移金属元素)を中心とした物質群において、(1)組成と原子配列、(2)電子状態、(3)電気/スピン伝導物性を総合的に研究し、100%スピン偏極度を持ちスピンエレクトロニクス応用が期待されているハーフメタル材料を創製することを目的とする。本年度の主な研究成果を以下に列挙する。 ・ペロブスカイト型マンガン酸化物群の中で最も歪んだ構造を有する(Lu,Ca)MnO_3を高圧法や錯体重合法により合成し、キャリアー量を制御することによりハーフメタル状態発現の可能性を調べた。電気抵抗率はLuMnO_3に近い組成域では広範囲にわたり絶縁体/半導体的挙動を示し、一方CaMnO_3近傍の組成では金属的な振る舞いと大きな負の磁気抵抗効果が観測され、本物質がハーフメタルであることが強く示唆された。直流磁化率及び交流磁化率の測定により、前者はスピングラス的な、後者強磁性的な磁気秩序をもつことが明らかになった。 ・ハーフメタルの代表物質であるSr_2FeMoO_6と類似構造を持つRuddlesden-Popper型層状酸化物Sr_<n+1>(FeMo)_nO_<3n+1-δ>の合成とその特性評価を行った。EDTA錯体重合法にて準備した前駆体を用いることにより、n=1,2メンバーの単一相試料の作製に成功した。^<57>Feメスバウアー分光測定の結果より、n=1メンバーでは結晶中のFeの原子価は全てIII価であるのに対し、n=2メンバーでは一部のFeが混合原子価(II/III)状態にあることが判明した。後者は200K以下で強磁性的な振舞いと大きな負のMR効果を示し、半導体的なマトリックス中にハーフメタルのアイランド領域が形成されている可能性が示唆された。
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Research Products
(20 results)