Research Abstract |
(1)新しい薄膜金属ガラスの追求 申請装置であるアークプラズマガン成膜装置により,Fe, C, Cuが成膜可能であることを確認した.さらにSi, Pt, Zr, Wなどの成膜条件を決定し,アークプラズマ法によるW基,Fe基などの新しい薄膜金属ガラスの創成を目指す. また,多元同時スパッタを用いて,Cu基の薄膜金属ガラスの創成を行い,多力同時スパッタでも薄膜金属ガラスの成膜が可能であることを示した. (2)薄膜金属ガラスの特性改善 Pd基薄膜金属ガラスを,真空中において,赤外線加熱炉により過冷却液体域での焼きなましを行い,ナノ結晶化することで,抵抗率の低減や,縦弾性係数の増加などの特性改善を試みた.試料の一部をナノ結晶化することにより,電気抵抗率の低減化が見られた.しかし,ナノ結晶による機械的特性の向上は見られず,結晶化の進行に伴い,試料は脆化していった.今後は従来のPd基金属ガラスの組成を変化させ,電気抵抗率の最適化を行う. (3)多自由度マイクロアクチュエータの検討 薄膜金属ガラスを用いた曲りはりと,圧電薄膜を利用した多自由度マイクロアクチュエータの形状・製作法の再検討を行い,大ストローク化,高速化を目指した.圧電薄膜のアニール条件と密着層の再検討により,大ストローク化(従来1μm→今期10μm以上)を実現した.高速化については,駆動周波数は従来1.3kHzが1.6kHz程度に改善された.今後,アクチュエータの小型化により,高速化を実現する. (4)能動電子素子(可変マイクロインダクタ)の基礎検討 新しい能動電子素子として可変マイクロインダクタの設計と製作を行い,高さを可変とすることで,インダクタンスが変化することを確認した.今年度は,高さを変化させるために微細なジグを用いて外力を加えたが,今後は静電力などを利用したマイクロアクチュエータを組み込むことで,能動化を試みる.
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