Research Abstract |
(1)新しい薄膜金属ガラスの追求 昨年度に引きつづき,新しい薄膜金属ガラスを探索する.本年度は,特に500℃以上の高温域に過冷却液体域を有するW系やMo系の金属ガラスの探索を目的とした.検討の結果,800℃以上,組成によっては1,000℃以上の結晶化開始温度を有するMo系アモルファス合金の探索に成功した.しかし,ガラス転移点の測定は,市販のDSC(示差走査熱量計)では,高温過ぎてほぼ不可能ということが判明した.今後は,高温,高真空中で極少量のサンプルで過冷却液体域を測定できる方法を考案,検討する. (2)アナログ変位駆動マイクロアクチュエータの検討 カールドアップ型静電マイクロアクチュエータを,アナログ的に変位させる方法を考案し,その実証を行った.具体的には,基板側の電極を先細り形状とし,静電気の分布を変化させることにより,プルインを防止する.カールドアップした可動電極は,薄膜金属ガラスとCrのバイメタル構造により実現した.検討の結果,基板電極形状による駆動特性(電圧-変位特性)の計算方法,交流駆動のヒステリシス低減効果を理論と実験的に明らかとした. (3)三次元成膜による立体構造 中子を回転させる回転成膜法により,シームレスなメタルベルトを薄膜金属ガラスにより実現する方法を検討し,Pd系金属ガラスにより直径80mm,幅10mm,厚さ20μmのシームレスメタルベルトを実現した. (4)マイクロブロー成形による立体構造 窒化銅を発泡剤として,薄膜金属ガラスの過冷却液体域での軟化と,窒化銅からの窒素遊離を利用したマイクロブロー成形を検討し,直径100μm,高さ15μm,厚さ3μmの中空構造体を10×10の100個,間隔20μmで集積することに成功した.
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