2003 Fiscal Year Annual Research Report
合金ナノ粒子に出現する熱力学的に安定なアモルファス相の成因解明
Project/Area Number |
15206070
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 博太郎 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 教授 (10024366)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大門 秀朗 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助手 (20324816)
|
Keywords | 合金 / ナノ粒子 / 熱力学計算 / 界面エネルギー |
Research Abstract |
合金ナノ粒子においてはバルクに比べて結晶が不安定となる理由を調べる目的で、合金化にともなう固相→液相遷移を電子顕微鏡によって調べるとともに、得られた結果を熱力学計算と比較した。合金系としてはSn-Bi系を選んだ。試料温度は80℃とした。 直径約8nmのスズ粒子にビスマス原子を蒸着させると、ビスマス濃度の増加とともに固溶体から直接液相へ変化した。これに対して直径約8nmのビスマス粒子にスズ原子を蒸着させると、固液二相共存状態を経て液相に遷移した。しかし、ビスマス側でも粒子のサイズをさらに小さくすると、固溶体から直接液相へ変化した。これらの実験結果を熱力学的観点から考察した。まず、表面エネルギーを考慮した自由エネルギーの計算を行なった。次に固/液異相界面エネルギーの寄与も考えた計算を行った。その結果、(1)固/液異相界面エネルギーの寄与ΔXが固液二相共存状態と過飽和固溶体との自由エネルギーの差ΔGより大きい場合には、界面の形成による自由エネルギーの増加が大きいために固/液二相共存領域は現れない、(2)逆にΔXがΔGより小さい場合には、固/液二相共存領域が現れる、ことが予測された。これらの予測は、ここで観察された実験事実とよく一致していた。 以上の実験および考察から、固液異相界面は合金ナノ粒子における相安定性の一つの重要な支配因子であることが分かった。これまでに、ナノ粒子の相安定性に対して表面エネルギーが重要な役割を果たすことはすでに明らかにされている。本研究では、異相界面エネルギーがナノ粒子における相平衡を具体的にどのような形でどの程度変化させるかが初めて実験的に明らかにされた。
|
-
[Publications] J-G.Lee: "In-situ observation of alloy formation in nanometer-sized particles in the Sn-Bi system"Philosophical Magazine. (印刷中). (2004)
-
[Publications] J-G.Lee: "Particle-size dependence of crystal-liquid phase change in nanometer-sized alloy particles"J.Metastable and Nanocrystalline Materials. (印刷中). (2004)