2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15206077
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 節雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90150490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東田 賢二 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (70156561)
土山 聡宏 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (40315106)
森川 龍哉 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00274506)
中島 孝一 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30363378)
中田 伸生 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (50380580)
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Keywords | 超細粒 / メカニカルミリング / 転位密度 / 機械的性質 / Hall-Petch則 / 加工硬化 / Bailey-Hirchの関係 |
Research Abstract |
1.超微細組織の発達過程 メカニカルミリング(MM)処理により鉄中には多量の転位が導入され、これが最終的に得られる超微細組織の形成に大きく影響する。本年度はまず、本助成金にて導入したX線回折装置を用いて、MM処理に伴う転位密度の測定を行った。鉄の一般的な加工法である冷間圧延により導入される転位密度は10^<15>m^<-2>オーダーで飽和するのに対して、MM処理した鉄粉にはさらに多くの転位を導入することが可能であり、10^<16>m^<-2>で飽和することを明らかとした。これは、鉄に導入されうる限界の転位密度に対応しており、この値と冷間加工された鉄の強度と転位密度の関係(Bailey-Hirschの関係)から転位強化量の限界値を硬さで3.7GPa、降伏強度で1.1GPaであることを明らかとした。一方、電子顕微鏡観察を行った結果、限界の転位強化量以上の強度レベルにまでMM処理を施すと数十nmの超微細組織が形成されることが確認された。また、鉄粉に少量の炭素を添加してMM処理した場合にはさらに組織の微細化が促進されることも確認された。 2.超微細粒鉄の加工硬化挙動 汎用の鉄はその結晶粒径が数十μm程度であり、これを冷間圧延すると材料中には多量の転位が導入されてその強度は上昇(加工硬化)する。一方、MM処理後固化成形した超微細粒鉄を冷間圧延した場合、材料中には多量の転位が導入されるものの強度はほぼ一定であり、全く加工硬化しないことが明らかとなった。結晶粒微細化強化(Hall-Petch則)と転位強化(Bailey-Hirschの関係)の観点から、超微細粒鉄の強度と結晶粒径ならびに転位密度の関係を検討した結果、鉄の強度は、両強化機構の内その強化量がより大きいものに支配され、上述の限界の転位強化量以上の強度レベルにまで微細化強化された場合には、転位強化は寄与しなくなり、加工硬化が生じなくなることを明らかとした。
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Research Products
(5 results)