Research Abstract |
本年度は,必要な装置類を設計試作するとともに,関連する基礎的な研究を行った. (1)実験装置の試作 DC-ESR装置を用いTi金属を直接液体状態で得るため,全く新しい構想に基づく装置を設計試作した.この装置は2つのESR電解槽を連結させたもので,一方でTi電析を,他方でCOガス発生を進行させる.また,両者の結合部の電解浴を非移行型プラズマで加熱するとともに,電解原料であるTiO_2を溶解添加する.この装置には専用の電解槽,大型の直流電源,プラズマトーチが新たに必要であり,これらを設計試作した.製作した各部分の作動試験を行い,必要な改善を行った.さらに,新しい電源を用いたTi金属の再溶解実験,プラズマトーチの作動試験を行い,所定の性能を確認した. (2)小型装置による基礎実験 ESR装置を用いたTi電解における種々の電解条件を最適化するため,Ti還元挙動を詳しく検討することが必要である.しかし,実際のESR装置内は,2000℃近い高温と激しい流動のため,このような検討は非常に困難である.そこで,かなり高温が得られる小型の外熱式電気炉を用いた研究を行った.実験では,ESR装置で用いるCaF_2-CaO電解浴に融点低下のためMgF_2に加え,さらにTiO_2等を添加したものを電解浴とした.実験温度は1100〜1300℃とした.研究の結果,(1)Tiは何段階かのステップを経て還元される,(2)Tiの還元電位はMgに対して0.5V程度貴であり,Caに対しては1.0V程度貴であるものと考えられる,(3)還元反応はこの温度範囲ではほとんど変わらない,ことを明らかにした.また,電解浴中のTiイオン源としてK_2TiF_6に着目して実験を行い,その利用可能性を明らかにした.これらの知見により,ESR装置を用いたTi電解採取法において電解条件,浴条件を最適化するための情報を得ることができた.
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