2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15207020
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
四方 哲也 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (00222399)
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Keywords | 実験室内共生系 / 細胞性粘膜 / 大腸菌 / セルソーター / 緑色蛍光タンパク質 / 細胞内状態変化 / 共生状態移行過程 |
Research Abstract |
本研究では、実験進化の特徴である再現性を生かし、共生系安定化の複数プロセスを解析することによって、偶然の変化を排除し、共生系発達の基本的条件を明らかにする。 本年度は、大腸菌と細胞性粘菌が共生状態を獲得する過程で大腸菌の細胞状態の分布がどのように変化するのか、またどのような細胞状態の大腸菌が細胞状態の大腸菌が細胞性粘菌との共生に移行できるのかを明らかにすることを目的とした。 大腸菌の細胞状態の変化を検出するために、大腸菌のゲノム上に大腸菌の遺伝子発現制御を受けないプロモーターとその下流にGFP(緑色蛍光タンパク質)の遺伝子を組み込み、GFPの蛍光強度を大腸菌の細胞状態の指標として用いた。また、測定方法としてはセルソーターを用いて、共生状態への移行過程での大腸菌のGFP蛍光強度の分布を経時的に測定した。その結果、大腸菌単独の培養では培養開始8日目から15日目にかけて大腸菌のGFP蛍光強度の分布はほとんど変化しなかったのに対して、大腸菌と細胞性粘菌の両者を共培養した条件では8日目で大腸菌のGFP蛍光強度の分布が蛍光強度より強い領域にも広がっていた。さらに、共生コロニーが生じた15日目では大腸菌のGFP蛍光強度の分布は大腸菌単独の条件と比べて蛍光強度の強い領域にのみ現れた。また、共生条件の培養8日目での蛍光強度の強い大腸菌をセルソーターにより分取し、粘菌との共生のしやすさを比較したところ、蛍光強度の強い大腸菌の方が短期間に非常に高い確率で細胞性粘菌と共生することが明らかになった。これらの結果、共生状態への移行途中において大腸菌は細胞性粘菌との相互作用により多様な生理状態をとるようになり、その結果細胞性粘菌との共生状態に移行できたのではないかと考えている。
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Research Products
(2 results)