2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア地域の都市化が子どもの健康に及ぼす効果に関する生理人類学的研究
Project/Area Number |
15207022
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
石井 勝 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (90038969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 真太郎 北海道大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90002279)
山内 太郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70345049)
夏原 和美 福岡県立大学, 看護学部, 助教授 (00345050)
市丸 直人 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (40193453)
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Keywords | 環境適応 / 全身的協関 / 都市化 / 発育・発達 / 健康 / 体力・運動能力 / 子ども / 生活行動 |
Research Abstract |
前々年度の韓国調査、前年度の中国調査に引き続き、本年度は5月に台湾(台中市)、11月に北九州市の児童・生徒(9〜15歳)のそれぞれ約600名を対象に測定・調査を実施した。実施した項目は以下の通りである。 1.形態測定:身長、体重、座高、胸囲、腰囲、上腕囲、下腿囲、皮脂厚4部位(上腕二頭筋、上腕三頭筋、肩甲骨下、腸骨稜)インピーダンス法による体脂肪比率、骨音速測定による骨梁面積率(BAR)等 2.体力・運動能力測定:50m走、800m走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈、立ち幅跳び 3.ダグラスバッグ法による安静代謝量測定、加速度計装着による身体活動量調査、及び自記法による生活行動調査 4.自記法による食生活と食事内容調査、及び国・地域別食品成分表による栄養摂取量の計算 5.手指の冷却後の皮膚温回復経過からみた局所対寒反応と寒冷適応性 6.質問紙法による調査:生活時間、生活環境、情報機器使用などの生活行動、初潮などの成長記録、アレルギー疾患などの健康記録 前年度までの韓国・中国及び日本のデータをも含めて以下のような知見が得られている。それらは、1)中国の都市化に関連した肥満傾向及び発育の著しい時代的傾向、2)栄養摂取量および身体活動量に国・地域別及び性別の特徴が認められること,3)温度環境に関連した生活習慣と局所寒冷反応の関係、4)日中の子ども間の健康・体質に関する比較研究などであり、研究発表の項に示した。 本年度までに東アジア地域の大規模な測定・調査がひと通り終了し、集計が進んでいるので、次年度は以下に示す当初の課題「都市化環境では、利便性、快適性、洗練性、衛生状態の改善などの利点を生ずる反面、人類進化史上の環境適応・行動適応とは逆説的な状況を惹起する。すなわち、人間の発育・健康に必要な多くの刺激が排除され、機能的な大脳化が著しく進行した。その結果、身体性、精神性、社会性の体系的全体である健康に齟齬をきたす状況が発生している。」について総合的に検討するための方策を定め、その結果を多数の論文として発表する予定である。
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Research Products
(4 results)