2004 Fiscal Year Annual Research Report
作物における塩ストレス障害の発現機構とその軽減対策
Project/Area Number |
15208002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三宅 博 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60134798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 光隆 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40231419)
川崎 通夫 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (30343213)
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Keywords | 塩ストレス / 活性酸素 / カリウム / カルシウム / pH / 葉緑体 |
Research Abstract |
イネ(品種日本晴)の水耕栽培と土耕栽培において、塩ストレスによる成長抑制に対する共存イオンによる軽減効果を調べた。水耕栽培ではCa^<2+>による軽減効果が最も顕著であったが、土耕栽培においてはCa^<2+>よりもK^+の方が有効であった。また低濃度のMg^<2+>も有効であったが、高濃度では障害が現れた。興味深いことに、水耕、土耕に関わらず、また共存イオンの種類に関わらず、成長抑制と地上部のNa/K比との間に高い正の相関があった。この相関は、Naのみに対する相関よりも高かった。したがって、塩ストレスによる成長抑制を軽減するには、地上部のNa/K比を低くする栽培方法が有効であると考えられた。水耕液のpHと塩ストレスによる成長抑制の関係を調べたところ、蒸留水を用いた場合は、pH4までの範囲ではpHが低いほど塩ストレス障害が軽減された。またpHが低いほど地上部のNa/K比は低くなった。しかし、無機養分を含む水耕液を用いた場合は、pHと塩ストレス障害との関係は明確ではなかった。したがって、共存イオンの存在によってpHの影響は不明確になるものの、Na^+/H^+アンチポーターがNaの排除に関与していることが推察された。昨年までの研究で、葉緑体に対する塩ストレス障害には活性酸素、とくに過酸化水素とヒドロキシルラジカルが関与していることが明らかになっている。そこで本年度は、葉緑体内で活性酸素を発生させるタイプの除草剤を低濃度で事前に処理しておき、その後の塩ストレス障害に対する軽減効果を調べた。その結果、メチルビオロゲンを低濃度(100nM)で処理しておくと、その後の塩ストレス障害が抑制され、またSODとアスコルビン酸ペルオキシダーゼの活性が上昇し、また塩ストレスで低下するカタラーゼの活性も維持されることが明らかになった。したがって、塩ストレスで発生する過酸化水素を有効に代謝させ、ヒドロキシルラジカルの発生を抑制することが塩ストレス障害軽減に有効であると考えられた。
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Research Products
(4 results)