2003 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナの自家不和合性における花粉の自己シグナルの受容と伝達の分子機構
Project/Area Number |
15208013
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
磯貝 彰 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (20011992)
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Keywords | 自家不和合性 / アブラナ科植物 / リン酸化カスケード / Two hybrid / マイクロアレイ / MLPK / 受容体 / キナーゼ |
Research Abstract |
1.自家受粉時にリン酸化される柱頭蛋白質の解析 自家あるいは他家受粉時にリン酸化状態の変動する柱頭蛋白質を解析することで、自家不和合性の情報伝達系(リン酸化カスケード)に関わる蛋白質を探索してきた。本年度は、受粉後にリン酸化レベルの変化する複数の蛋白質の中から、自家受粉時に特異的にリン酸化される約30Kの蛋白質に着目し解析を進めた。まず二次元電気泳動ゲルから30K蛋白質を含む領域を回収し、含まれる蛋白質を質量分析計により解析したが、大量に存在する夾雑蛋白質のために目的とする30K蛋白質を同定することは出来なかった。そこで、二次元電気泳動に供する前の予備精製法を検討し、ハイドロキシアパタイトカラムと逆相系カラムを用いた前処理法の有効性を見出した。今後、大量の受粉柱頭サンプルより、30K蛋白質を精製し、その同定を目指す。 2.自家受粉時に発現誘導される柱頭遺伝子の解析 柱頭で発現している遺伝子のカタログ化を進め、合計4,992個のクローンからなるライブラリーを構築した。現在、挿入断片の増幅作業を進めており、完了次第マイクロアレイを作製し、自家受粉時あるいは他家受粉時の柱頭発現遺伝子の変動を経時的に解析する予定である。 3.和合性変異株の原因遺伝子産物MLPKと相互作用する柱頭蛋白質の探索 本年度は、計画より早く自家和合性変異株yellow sarsonの原因遺伝子Mの実体解明に成功し、本遺伝子のコードする新規膜結合型キナーゼMLPKが、自家不和合性の情報伝達を正に制御する鍵因子であることを明らかにした。MLPKの活性化機構および標的因子(基質)を同定することは、自家不和合性の情報伝達系解明に重要である。そこで、酵母Two hybridシステムを用い、MLPKと相互作用する柱頭蛋白質の探索を開始した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] G.Suzuki: "The S haplotypes lacking SLG in the genome of Brassica rapa."Plant Cell Rep.. 21. 911-915 (2003)
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[Publications] M.Iwano: "Immunohistochemical studies on translocation of pollen S-haplotype determinant in self-incompatibility of Brassica rapa."Plant Cell Physiol.. 44. 428-436 (2003)
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[Publications] M.Watanabe: "Recent progresses on self-incompatibility research in Brassica species."Breeding Sci.. 53. 199-208 (2003)
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[Publications] M.Mishima: "Structure of the male determinant factor for Brassica self-incompatibility."J.Biol.Chem.. 278. 36389-36395 (2003)
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[Publications] K.Murase: "A membrane-anchored protein kinase involved in Brassica self-incompatibility signaling."Science. 303. 1516-1519 (2004)