2004 Fiscal Year Annual Research Report
落葉広葉樹林生態系における地上部-地下部の相互作用が生産性に与える効果の解明
Project/Area Number |
15208014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日浦 勉 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (70250496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
金子 信博 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (30183271)
俵谷 圭太郎 山形大学, 農学部, 助教授 (70179919)
宮本 敏澄 北海道大学, 農学部, 助手 (00343012)
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Keywords | ミズナラ / 菌根菌 / マイズルソウ / ササラダニ / 伐採・施肥処理 / 多様性 / 細菌処理 / リグニン |
Research Abstract |
1.ミズナラ林の調査区内にミズナラのリターバックを設置した(2003年秋)。調査区内に殺菌剤(ベノミル等)処理(リグニン分解菌およびセルロース分解菌を抑制)区および無処理区を設け、定期的に殺菌剤散布を行った(2004年)。今後リターバックを回収し、菌類相とリター重量、養分含有率を測定することにより、リグニン分解菌およびセルロース分解菌の組成がリター分解と養分放出に与える影響を明らかにする。 2.菌根菌がマイズルソウとミズナラの成育に及ぼす影響を明らかにするため、2003年に引き続き殺菌剤処理を行った。マイズルソウを7月に採取し、アーバスキュラー菌根形成率、地上部含有率、および地上部乾物重を測定した。マイズルソウの菌根形成率はベンレート区で対照区より低く、チルト区は対照区と差がなかった。地上部リン含有率はベンレート区とチルト区で対照区より低かった。地上部乾物重はベンレート区で対照区より小さかった。これらのことからマイズルソウはリン酸吸収と成育を菌根に依存していることが初めて明らかになった。 3.ミズナラ樹上に生息する蛾類幼虫群集を対象にして、寄主植物の葉の質の時空間変化と植食性昆虫群集の関係を、とくにミズナラの繁殖活動(開花、結実)と関連づけて研究した。ミズナラのシュート単位では、繁殖への投資による葉の質的変化は見られなかったが、繁殖器官(雄花)が高栄養の餌資源として利用されることにより、幼虫群集および葉の被食率が繁殖シュートと非繁殖シュートの間で大きく異なることが判明した。また伐採施肥処理により、ミズナラの葉の被食率が変動することを明らかにした。 4.ミズナラの優占度が異なる9つの林分でのササラダニ群集を比較した。群集構造にはミズナラやミミズの影響はなく、上層木の多様性が11から25の森林では植物の多様性がササラダニ群集に関係がないことが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Carbon cycling and budget at a forested basin in southwestern Hokkaido, northern Japan.
Author(s)
Shibata, H., Hiura, T., Tanaka, Y., Koike, T., Takagi, K.
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Journal Title
Ecological Research 20(in press)
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