2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15208025
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 敦士 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40018792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西海 理之 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (60228153)
原 崇 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (20323959)
杉山 稔恵 新潟大学, 自然科学系, 助手 (10272858)
池内 義秀 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90168112)
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Keywords | 超高圧 / 筋肉タンパク質 / 食肉の軟化 / 筋肉内コラーゲン / イノシン酸 / カルパイン / プロテアソーム / 牛肉アレルギー |
Research Abstract |
本研究の目的は、圧力によって構造変性を起こした個々の筋肉構成タンパク質や膜組織と、活性発現部位に影響を受けた筋肉内在性タンパク質分解酵素との相互作用から、「超高圧による食肉の肉質制御」の全容を明らかにすることにある。また、観点を変えて、超高圧による食肉アレルゲンの構造変化とアレルゲン性低減化との関係を明らかにする。本年度に得られた結果を以下に示す。 1.超高圧と熱処理(30℃および60℃)を併用して牛肉の軟化を検討した結果、硬い肉の軟化に効果があることが認められた。これは結合組織と筋原線維の構造変化によるものと考えられる。 2.超高圧処理が結合組織中のコラーゲン線維形成に及ぼす影響を検討した結果、筋肉から調製したコラーゲンと腱から調製したコラーゲンでは線維形成に異なる傾向が認められた。 3.食肉の呈味成分であるイノシン酸(IMP)生成に関与する筋肉内酵素(ミオキナーゼ、AMPデアミナーゼ、ヌクレオチダーゼ)活性と圧力による構造との関係を検討した結果、200MPa程度の圧力では活性が低下しないことが明らかになった。 4.既に我々は、牛血清アルブミン(BSA、牛肉アレルゲンの一つ)に超高圧処理を加えると、BSAの構造に変化が起こりアレルゲン性の低減化につながることを明らかにしてきた。本年度はBSAのペプチド断片を合成し牛肉アレルギー患者血清中のBSA特異的IgEとの結合性を検討した結果、ペプチド191-204,291-304,331-344,491-504,501-514などの領域がBSA分子における主要なB細胞エピトープであることを確認した。 5.牛肉アレルゲンの一つγ-グロブリン(BGG)に対しても超高圧処理を加えると、アレルギー患者血清中IgE抗体との結合性は低下した。BGGの圧力下での蛍光スペクトル測定の結果、3次構造の変化がIgE抗体との結合性の低下をもたらすものと考えられる。 結果をまとめると、超高圧処理は食肉の軟化・熟成促進に有効な手段であり、味の面でも評価できる。また、食肉アレルギーの低減化にも有効な手段の一つになりうると思われる。
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Research Products
(13 results)