2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15208027
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80196352)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 邦雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70155612)
中山 裕之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
高橋 伸一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (00197146)
田中 智 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90242164)
上塚 浩司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60251419)
|
Keywords | DNAメチル化 / エピジェネティックス / ジメチルスルホキシド / ES細胞 / Dnmt |
Research Abstract |
本研究は、肝臓、胎盤、胎仔などの病態モデルを用いてエピジェネティックス異常と病態との関係を調べることを目的とする。昨年度までの研究で、マウス胚性幹細胞(ES細胞)の浮遊培養で形成される胚様体において、ジメチルスルホキシド(DMSO)がゲノムDNAのメチル化異常を引き起こすことを明らかにしていた。昨年度から継続して、DMSO処理によりメチル化異常を示すゲノム領域を探索したが、同定には至らなかった。しかし、DNAメチル化を担う酵素であるDNAメチル基転移酵素(Dnmt)の発現に対するDMSOの影響を解析し、Dnmtファミリーの1つであるDnmt3aの発現が、DMSO添加によって特異的に促進されることを見出した。Dnmt3aは、新規にメチル基を導入する、いわゆるde novoメチル化活性が強い酵素である。Dnmt3aの発現上昇からゲノムDNAのメチル化の亢進が予想されたが、実際、ゲノムに多コピー存在する反復配列をプローブに用いたサザンハイブリダイゼーション解析において、これらの配列のメチル化が亢進していることが判明した。Dnmt3aは、同様の活性を持つもう1つのde novoメチル化酵素であるDnmt3bと共に、がんの発生との関係も示唆されている。細胞・胚の凍結保存における凍結保護剤や、水に不溶性の試薬の溶媒などとして広く使われているDMSOがエピジェネティック因子の発現まで影響を与えることが明らかなったことで、化学物質の毒性評価などにおいて、エピジェネティックス異常の解析が必要であることが示された。
|
Research Products
(6 results)