Research Abstract |
4'-チオUTP,4'-チオCTP,天然型のATP,GTPを用いてSELEX法でアプタマー取得実験を行った.今年度の標的はVEGFでありVEGFにアプタマーを結合させ,VEGFレセプターに対する結合を阻害することを目的にした.昨年度はニトロセルロースフィルターのみを用いてアプタマーを取得したが,フィルダーに結合するそれが大量に得られたため,この点を改良すべくゲル電気泳動を併用した.市販のVEGF_<165>を標的にし,1)ニトロセルロースフィルターのみ,2)ゲル電気泳動のみ,3)両者の併用の3方法を用いて標的に結合する4'-チオRNAを取得した.方法1では,昨年度と同様にフィルター結合性アプタマーが主に得られ,標的に対するアプタマーは低親和性であった.方法2では,フィルターに対するアプタマーは得られないが,選択圧が低く,かなりの回数の選択を行う必要があった.方法3では,選択圧を高めることができ,8回の選択で十分であった.また,フィルター結合性アプタマーはほとんど得られず,標的結合性(73mer)の4'-チオRNAが得られ,Kdは1.6nMであった.従って,本法は今後のアプタマー取得のための優れた方法になる可能性が高い. 4'-チオDNA合成に必要な4種類の2'-deoxy-4'-thioribonucleosidesの合成法を確立した.4'-チオDNAはエンドヌクレアーゼに対して極めて安定であった.従って,比較的長鎖の4'-チオDNAの酵素合成法を確立する必要があった.4種類の4'-チオdNTPを化学的に合成し,市販の種々のDNA polymeraseを用いて取込み効率を調べた所,M13mp18一本鎖プラスミドを鋳型にし,KOD Dashを用いて長鎖(約7200塩基)4'-チオDNAが合成できた。現在,4'-チオDNAを用いるアプタマー取得法の開発を行っている.
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