2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15209004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 章 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (80155952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 基旭 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教務職員 (00344680)
大橋 一晶 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (70344679)
久下 周佐 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50186376)
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Keywords | メチル水銀 / 毒性発現機構 / 耐性 / 酵母 / ユビキチン / Cdc34 |
Research Abstract |
我々のこれまでの研究によって、メチル水銀がある種の蛋白質(X-蛋白質)に何らかの修飾(例えばリン酸化)を与え、この修飾を受けたX-蛋白質(修飾X-蛋白質と呼ぶ)が細胞内に蓄積することによってメチル水銀による細胞障害が生じることが強く示唆されている。一方ユビキチンシステムは、この修飾X蛋白質をユビキチン化することによって修飾X-蛋白質の分解を促し、その結果としてメチル水銀毒性に対して防御的に機能していると考えられる。したがって、このX-蛋白質の同定がメチル水銀毒性の発現機構解明のための扉を開ける「鍵」となることは間違いない。そこでまず、細胞をメチル水銀処理することによって量的減少を示す蛋白質を2次元電気泳動法で検索したところ、2種の蛋白質を同定することに成功した。両蛋白質は共にメチル水銀によってmRNA量が減少することなく蛋白質レベルでの減少を示し、さらに、ユビキチン化されることも確認されたことから、少なくともこれらの蛋白質はユビキチン/プロテアソームシステムによって分解されるものと考えられる。一方、ユビキチン化反応において基質蛋白質の認識を担うサブユニツトであるF-Box蛋白質の中からメチル水銀毒性の防御に関わるF-Box蛋白質分子種の検索も行った。その結果、数種のF-Box蛋白質が高発現によって酵母にメチル水銀耐性を与えることが判明した。X-蛋白質はこれらF-Box蛋白質と結合してユビキチン化されると考えられることから、F-Box蛋白質と結合する蛋白質を調べることによっても、メチル水銀の毒性を増強させる目的蛋白質を同定できるものと期待される。なお、我々がユビキチンシステムの律速酵素であることを明らかにしたCdc34を高発現するトランスジェニックマウスの作成にも成功しており、今後の研究に進展が期待される。
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