2003 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成と病態の発症に関わるGDNF/RETシグナル伝達系の個体レベルでの解析
Project/Area Number |
15209014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 雅英 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40183446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村雲 芳樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40324438)
市原 正智 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00314013)
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Keywords | GDNF / RETチロシンキナーゼ / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 発がん / 腎臓 / 腸管神経系 |
Research Abstract |
神経栄養因子GDNFは受容体型チロシンキナーゼRETを介してその生理機能を発現する。またRETの活性化変異で甲状腺癌が、機能失活型変異でヒルシュスプルング病が発症することが知られている。われわれはRET蛋白の活性化によるチロシン1062のリン酸化が、下流のシグナル伝達にとって極めて重要な役割を果たしているを明らかにしている。チロシン1062にアダプター蛋白Shcが結合した後、ひきつづいてShcにGrb2-SosあるいはGrb2-Gab1複合体が結合することにより、Ras-MAPK系、PI3K-AKT系の活性化を生じ、細胞増殖につながる。今回、Gab1を介するシグナル伝達を様々なGab1変異体を作製し、細胞に発現させることにより解析した結果、特にRETの活性化変異によって発症する甲状腺癌においてそのシグナルが腫瘍細胞の生存に関わっていることを証明した。 チロシン1062のin vivoにおける意義について明らかにする目的で、チロシン1062をフェニルアラニンに置換したノックインマウスを作製した。ヘテロのノックインマウスは正常であるが、ホモのノックインマウスは生後27日までに全て死亡した。解剖をすると形態学的に大きく2つの異常が観察された。1つは腎臓の重量が正常の1/3から1/4であった。組織学的な検討から腎臓の低形成は胎生期における後腎組織内での尿管芽の分岐異常によることを明らかにした。第2には腸管が著明に拡張しており、組織学的にはさまざまなレベルで腸管神経細胞が欠損しており、胎児期における腸管神経前駆細胞の増殖および移動が障害されていることが示唆された。よってチロシン1062からのシグナルが細胞増殖とともに腎臓の発生と腸管神経系の形成に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nishikawa, M., et al.: "Cys611Ser mutation in RET proto-oncogene is a kindred with medullary thyroid carcinoma and Hirschsprung's disease"Eur.J.Human Genet.. 11. 364-368 (2003)
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[Publications] Shimoyama, Y., et al.: "Identification of human SEP1 as a glial cell line-derived neurotrophic factor-inducible protein and its expression in the nervous system"Neuroscience. 12. 899-906 (2003)
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[Publications] Fukuda, N., et al.: "Identification of novel GDNF-inducible gene required for renal branching morphogenesis."J.Biol.Chem.. 278. 50386-50392 (2003)
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[Publications] Kawai, K., et al.: "Establishment and characterization of mouse mammary carcinoma cell lines expressing RET with a multiple endocrine neoplasia 2A mutation."Cancer Science. 94. 992-997 (2003)
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[Publications] Kato, M., et al.: "c-Kit-targeting immunotherapy for hereditary melanoma in a mouse model."Cancer Res.. 64. 801-806 (2004)
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[Publications] Hashimoto, M., et al.: "Expression of CD109 in human cancer."Oncogene. (in press).