2005 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス調節因子チオレドキシン結合タンパク質による老化・増殖制御の解析
Project/Area Number |
15209015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 肇 京都大学, 医学部附属病院, 助教授 (70303914)
増谷 弘 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (50252523)
鍋島 陽一 京都大学, 大学院医学研究科, 教授 (60108024)
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Keywords | thioredoxin / TBP-2 / レドックス / 糖脂質代謝 / 癌抑制 / 高脂血症 / 老化 / 絶食 |
Research Abstract |
チオレドキシン(TRX)は細胞内外のレドックス環境を調節する機能タンパクであるが、還元型TRXと結合できるTBP-2/VDUP1はTRXのもつ還元活性を抑制するほか、糖代謝や脂質代謝とも関係することが最近示唆されている。最終年度である本年度はこれまでに作製したTBP-2ノックアウト(KO)マウスやトランスジェニック(TG)マウスの解析を中心に行い、TBP-2が関わると想定される糖代謝や脂質代謝上の作用点を明らかにしたと共に、TGマウスのラインにおいて老化現象と類似した症状が認められたことを報告する。 (1)TBP-2 KOマウス 生存および生殖可能であり、通常の飼育条件下では顕著な異常は観察されなかったが、絶食時に顕著な出血傾向と、血清中のトリグリセリド、コレステロールなどの脂肪成分の上昇、高インスリン血症に起因する低血糖などの糖・脂質代謝異常を示すことが明らかになった。これらの原因として、クエン酸サイクル不全によるアセチルCoAの利用障害が起きることが想定された。また、TBP-2KOマウスで明らかにされた表現型は、ミトコンドリア機能の不全によってもたらされるヒトのReye症候群と類似しており、モデルマウスとしての有用性が示された。 (2)TBP-2TGマウス 血清中の脂肪成分の低下、高血糖などの糖・脂質代謝異常を示すことが明らかになった。これらの表現型は、TBP-2KOマウスと鏡像関係にあり、TBP-2が糖の利用を抑え脂質の利用を促進する機能を持つことを示唆しており、絶食時にエネルギー源を糖から脂質へ移行する上で重要な役割を担っていると考えられた。また、TBP-2TGマウスは、ラインによって体重および体脂肪の減少、背骨の湾曲など骨異常などの老化類似症状を呈するものがあり、これらについては老化モデルマウスとしの有用性を調べるために引き続き研究を行っている。
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