2003 Fiscal Year Annual Research Report
成人生体肝移植における移植後門脈圧亢進と肝内循環病態の解明・治療に関する臨床研究
Project/Area Number |
15209042
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木内 哲也 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40303820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 久實 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60184321)
吉岡 健太郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60201852)
金子 哲也 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40314009)
田中 紘一 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20115877)
尾池 文隆 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (20324650)
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Keywords | 生体肝移植 / 成人肝移植 / 低重量移植肝 / 門脈圧亢進 / 肝微小循環 / 門脈血流 / 肝コンプライアンス / 門脈圧減圧手術 |
Research Abstract |
低重量肝移植では、肝細胞傷害、肝再生・減黄・蛋白合成の遅れ、難治性腹水が生じ、重症感染に陥る危険が高くなり、移植肝の生着率と宿主の生命予後が不良となる。移植後早期の門脈圧持続測定では、移植肝の門脈血流圧が、移植前硬変肝の有無に加え、肝動脈血流や循環血液量の多寡によっても影響を受けることを明らかにしたが、全体として移植肝門脈圧は相対的移植肝重量と逆比例していた。一方、移植後早期門脈圧は数ヶ月以内の予後と密接に関係しており、平均門脈圧が20mmHgを越える症例では生存確率が約50%に低下した。移植後早期門脈圧亢進例では門脈圧に比例して腹水量も多く、減黄や蛋白合成が不良となり、さらに菌血症の危険も高くなることを明らかにしたが、門脈圧の予後的意義は時間とともに低下し、1週間前後の急性拒絶に伴う門脈圧亢進の影響は強く表れない。一方、肝右葉移植における前区域静脈還流不全に起因する組織鬱血を核磁気共鳴画像によって評価したところ、こうした組織鬱血は門脈圧には有意な影響を与えず、前者は類洞後性、後者は類洞前性の病態と考えられた。 すなわち、肝硬変によって増加した腹腔内血流が相対的低重量肝に流入して生じる門脈圧上昇が、門脈系特に非実質構造に傷害を与え、肝実質細胞障害ばかりでなく遷延する病態を形成する可能性が示唆された。ワイヤー・プローブによって持続測定された門脈血流量は、移植肝の相対重量に逆比例して増加するが、増加した門脈血流は肝細胞傷害や合成障害につながらず、むしろ減黄に貢献することが明らかになった。門脈血流量と門脈圧は自己肝の存在下では正の相関を示すが、移植肝の早期にはこれが失われ、移植肝門脈系のコンプライアンスに大きく依存することが明らかとなった。移植肝門脈系コンプライアンスには極めて大きな個体差があり、現時点で提供者の年齢、移植肝温阻血時間が有意な影響因子として明らかにされている。(797字)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Maetani Y, Itoh K, Egawa H, Shibata T, Ametani F, Kubo T, Kiuchi T, et al.: "Factors influencing liver regeneration following living-donor liver transplantation of the right hepatic lobe."Transplantation. 75・1. 97-102 (2003)
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[Publications] Fan ST, De Villa VH, Kiuchi T, Lee SG, Makuuchi M.: "Right anterior sector drainage in right-lobe live donor liver transplantation."Transplantation. 75・3. S25-S27 (2003)
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[Publications] Ito T, Kiuchi T, Yamamoto H, Oike F, Ogura Y, Fujimoto Y, et al.: "Changes in portal venous pressure in the early phase after living donor liver transplantation : pathogenesis and clinical implications."Transplantation. 75・8. 1313-1316 (2003)
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[Publications] Yamamoto H, Maetani Y, Kiuchi T, Ito T, Kaihara S, Egawa H, Ito K, et al.: "Background and clinical impact of tissue congestion in right lobe living donor liver grafts : a magnetic resonance imaging study."Transplantation. 76・1. 164-169 (2003)
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[Publications] Kiuchi T, Tanaka K, Ito T, Oike F, Ogura Y, Fujimoto Y, Ogawa K.: "Small-for-size graft in living donor liver transplantation : how far should we go?"Liver Transplant. 9・9. S29-S35 (2003)
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[Publications] Kiuchi T., Oike F, Yamamoto H.: "Small-for-size graft in liver transplantation."Nagoya J Med Sci. 66・3-4. 95-102 (2003)