2005 Fiscal Year Annual Research Report
二段階二層法を用いた心停止ドナーからの臨床膵島移植
Project/Area Number |
15209043
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒田 嘉和 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70178143)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 康之 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40304092)
藤野 泰宏 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30335450)
谷岡 康喜 神戸大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (00372649)
横野 浩一 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50144580)
|
Keywords | 膵島移植 / 心停止ドナー / 温阻血障害 / 二層法 / 膵島培養 |
Research Abstract |
今年度は、3回の膵島分離を行い、そのうち1回については、1型糖尿病患者に対し移植を施行できた。1例目のドナーは53歳男性で、心停止後温阻血時間は3分、冷阻血時間は476分、二層法保存時間は448分であった。膵消化後の収量は128967IEQであったが、純化後の収量は4111IEQと大幅に低下し、移植基準を満たさず、将来の臨床使用に向け凍結保存となった。2例目のドナーは58歳女性で、心停止後温阻血時間は6分、冷阻血時間は198分、二層法保存時間は182分であった。膵消化後の収量は367400であったが、純化後は38311IEQであり、やはり移植基準を満たさず、凍結保存となった。3例目のドナーは32歳女性で、心停止後温阻血時間は6分で、冷阻血時間は193分、二層法保存時間は165分であった。純化後の膵島収量は545267IEQであり、純化後も483545IEQに達し、移植基準を満たすことができた。また、移植にあたって必須である分離膵島のグラム染色は陰性で、エンドトキシンも感度以下であり、そのviabilityも98.5%であった。本症例におけるレシピエントは30歳台の女性で、年余に渡る不安定性1型糖尿病で、移植時も血糖管理のために本院内科に入院中であった。移植直後から内因性インスリン分泌が確認され、血糖の不安定性は解消した。 昨年度までに二段階二層法の有用性は基礎実験において証明した(Transplantation 79(11),1516-1521,2005、Hepato-Gastroenterol, in press)。さらに今年度は、温阻血障害を受けた膵臓からも二層法を使用すれば移植が可能である事も実験的に証明した(Transplantation 80(6),738-742,2005)。臨床では、膵島分離が極めて難しい若年かつ低BMIの心停止ドナーから二層法を用いて膵島分離し、移植に至った画期的な症例を報告した(Transplant Proc 37(8),3430-3432,2005)。
|
Research Products
(5 results)