2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮平滑筋腫瘍の新しい視点での病態解明に基づく治療・予防法の開発と治療指針の作成
Project/Area Number |
15209053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 信吾 京都大学, 医学研究科, 教授 (30135579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
富樫 かおり 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90135484)
高倉 賢二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10221350)
刈谷 方俊 京都大学, 医学研究科, 講師 (90243013)
二階堂 敏雄 信州大学, 医学研究科, 助教授 (50180568)
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Keywords | 子宮筋腫 / 子宮肉腫 / グレーゾーン / MRI / 細胞株 / Acrogranin / 性ステロイド受容体 / TGF-β |
Research Abstract |
昨年、子宮平滑筋、子宮筋腫細胞にhTERT遺伝子を導入し、テロメラーゼ活性化を誘導することで不死化させることに成功し、さらに性ステロイド受容体が維持されることを報告したが、本年は、さらに不死化子宮平滑筋細胞へのE2,p作用として増殖亢進を確認した。このときTGFβ1の分泌が低下しており、増殖亢進機序への関与が示唆された。 また、子宮平滑筋蕩腫瘍の悪性形態である子宮平滑筋肉腫にAcrograninという蛋白分子が高発現していることを新たに見出した。そこで、先の不死化子宮平滑筋細胞に、遺伝子導入によりAcrograninとSV40 early regionを強制発現させたところ、足場非依存性増殖能が亢進し、マウスに移植すると腫瘍が形成されたことから、細胞の悪性転化が確認され、Acrograninが癌遺伝子として機能することが示された。 臨床の場で子宮筋腫に対する治療方針を決定する上で子宮肉腫との鑑別は最も重要な点であるが、この鑑別に苦慮する場合がある。この場合、肉腫を見落とすと予後を悪化させることになり、大きな問題となる。そこでこの問題をどのように扱うかを検討した。まず、MRIを中心とした諸検査で鑑別が容易でないものをグレーゾーンとし、これについては手術で摘出し、病理診断を行うべきと考えた。このグレーゾーンの選択基準として、病理診断で、術前に施行可能な検査であるMRIに反映されうる所見に注目した。そこで腫瘤の急速な増大、浸潤を示唆する腫瘤辺縁の不整像、出血壊死を示唆するT1強調像での高信号のいずれかひとつを示すものをグレーゾーンの選択基準とした。当科で経験した1239例を検討した結果、肉腫は13例(1%)であった。グレーゾーンに該当する例は55例(4.4%)であり、その中で肉腫は22%となり、効率的に症例を絞り込めることが確認された。また微小病変を有する1例を除き、見落とし例はなく、今回の検討基準の有用性が示唆された。
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