2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15209062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健二 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (40091326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑波 隆幸 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (30264055)
筑波 知子 (門脇 知子) 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (70336080)
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Keywords | 歯周病 / ジンジバリス菌 / 免疫応答 / プロテアーゼ / ジンジパイン / カテプシンE / エンドソーム・リソソーム系 / 歯周病治療薬 |
Research Abstract |
歯周病は病原性細菌の感染力と宿主生体防御能のバランスが破綻することによって発症する慢性免疫性疾患である。病原性細菌および炎症局所に浸潤する炎症性細胞群がそれぞれ保有するタンパク質分解システムは、細菌の病原性発現や宿主免疫応答において重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、歯周病における病原性側および宿主側のいずれの蛋白質分解システムも不明な点が多い。本研究は、病原性側のプロテアーゼとしてPorphyromonas gingivalisが産生する2種類のジンジパイン(RgpとKgp)を、宿主側のプロテアーゼとしてエンドリソソーム系酵素のカテプシンEを取り上げ、それぞれの酵素の宿主生体防御系における役割を解明するものである。本年度は、P.gingivalisの宿主免疫機構からの回避機構におけるジンジパインの機能を解析した。まず、RgpおよびKgpの大部分を占める膜結合型酵素分子の精製を行い、その性状解析を行った。その結果、精製した主要な膜結合型ジンジパイン分子は、RgpおよびKgpの両酵素活性ドメインとそれぞれの遺伝子産物のC末端付着因子サブドメイン、さらにリン脂質とリポ多糖からなる分子量600kDaの高分子複合体であった。酵素学的には、膜結合型酵素複合体は、RgpおよびKgpの酵素活性ドメインのみから成る単量体分子に比して、タイプIコラーゲンやエラスチンなどに対する分解活性が非常に強かった。複合体に含まれるリン脂質はP.gingivalisの宿主細胞や宿主蛋白質への接着に重要な役割を果たしていることがリポソームを用いた実験から示された。一方、複合体に含まれるリポ多糖は、そのまま(intact)の状態ではマクロファージなどの宿主細胞を刺激することができず、熱変性やプロテアーゼ処理したときにのみこれらの細胞からのサイトカインの産生を誘導した。このことから、菌体表面に存在するリポ多糖の大部分は複合体に包含されることによって、本菌の宿主免疫応答からの回避に大いに寄与していることが示唆された。
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