2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15209062
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 健二 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (40091326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑波 隆幸 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (30264055)
筑波 知子 (門脇 知子) 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (70336080)
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Keywords | 感染症 / 癌 / 歯学 / 免疫学 / 薬理学 |
Research Abstract |
本年度は、正常マウスに歯周病原性細菌ジンジバリス菌や本菌の主要なプロテアーゼGingipains(RgpとKgp)を欠損させた変異株を感染させ、経時的に動物個体の生存率や各種臓器・組織への影響を細胞生化学的に解析し、個体レベルで本菌感染におけるGingipainsの役割を検討した。また、in vitroの実験系では、ジンジバリス菌とGingipains欠損変異株をヒト血管内皮細胞に感染させ、細胞レベルで本菌の細胞感染におけるGingipainsの役割を追究した。その結果、野生株を感染させたマウスは数日内にすべてが死亡し、 Gingipains欠損変異株を感染させた動物のほとんどが生存することが示され、Gingipainsが本菌感染における宿主の生存に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。血管内皮細胞を用いた実験では、野生株ならびに変異株ともIL-8やMCP-1などの各種サイトカイン量をmRNAレベルで上げるものの、蛋白レベルでは明らかに野生株を感染させた細胞で少なかった。このことから、GingipainsはIL-8やMCP-1などを細胞内輸送過程あるいは細胞外で直接分解してそれらの量を減少させ、細菌感染に対する宿主応答を減じている可能性が示唆された。一方、歯周病は動脈硬化性心疾患のハイリスクファクターであることが指摘されている。そこで、ジンジバリス菌ならびにGingipainsが歯周病による動脈硬化症進展機構にどのように関わっているかを動脈硬化症モデルマウスであるApolipoprotein E (apoE)欠損マウスを用いて解析を行った。その結果、野生株を感染させたマウスでは、動脈硬化病巣部が有意に増大したが、 Gingipains欠損株を感染させた動物では病変部は増大しなかった。プロテアーゼ阻害剤を用いた実験から、野生株感染における動脈硬化症促進はRgpによって担われていることが明らかにされた。Rgpによる動脈硬化症進展の分子機構を調べる目的で、血中コレステロールの動態を解析した結果、 RgpがLDLコレステロールの主要蛋白質apoB-100を特異的に分解し、これがマクロファージの泡沫化を誘導することが明らかとなった。
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