2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子発現プロファイルおよび遺伝子多型解析による口腔前癌病変からの癌化の予測
Project/Area Number |
15209070
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
南雲 正男 昭和大学, 歯学部, 教授 (70013993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 正泰 昭和大学, 歯学部, 講師 (50193743)
伊東 大典 昭和大学, 歯学部, 講師 (40286844)
上條 竜太郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (70233939)
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Keywords | 遺伝子発現プロファイル / DNAチップ / 口腔白板症 / 口腔癌 / サイトケラチン遺伝子 / カリクレイン遺伝子 / 免疫染色 / 癌化予測マーカー |
Research Abstract |
これまでのDNAチップを用いた遺伝子の網羅的解析で、白板症ではkeratin遺伝子群および角化に関与するloricrinの発現増強が認められ、それに対し口腔癌ではそれらの遺伝子発現は減弱していることが明らかになった。今年度は、白板症のなかに癌病変が見られた症例での遺伝子発現の変化を解析するとともに、keratin蛋白発現の変化を免疫組織学的に検討した。また、白板症と比較して口腔癌で発現が減弱していた遺伝子群のうちkallikrein遺伝子に着目し、それらの蛋白発現と分化度および予後との関連を検索し、以下のような結果を得た。 1)癌化症例における癌病変部と白板症部の遺伝子発現プロファイルを比較したところ、白板症部と比較して癌病変部で発現増強が見られた遺伝子はMMP遺伝子群、caveolin-1などで、逆に発現が低下していた遺伝子はkallikrein遺伝子群、transgulutaminase, small prolin-rich proteinおよびloricrinなどであった。kallikreinおよびloricrion遺伝子発現の減弱は、これまでの結果を裏付けるものであった。 2)keratin遺伝子群の発現状態を比較したところ、癌病変部で発現が低下しているものが多く、特にkeratin10遺伝子は癌病変部でその発現が著明に低下していた。 3)keratin蛋白の発現は、癌病変部ではわずかに癌胞巣部に見られるのみであった。 4)口腔癌におけるKallikrein(KLK)蛋白の発現を検索したところ、KLK3,6の発現を認めたが、KLK11の発現はほとんど見られなかった。 5)口腔癌のうち低分化型の扁平上皮癌においてKLK3の発現増強が認められた。 6)KLK3の強発現がみられた口腔癌の予後は、発現が弱いものに比較して悪かった。 以上の結果から、loricrin,kallikrein,keratin10などの遺伝子の発現プロファイルの変化が癌化の予測マーカーとなる可能性が示唆された。また、KLKの発現低下も癌化の予測マーカーになり、さらにKLK3の発現状態が予後判定のマーカーになる可能性も示唆された。
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Research Products
(5 results)